旅客機の機内でプロボクシングの元統一ヘビー級王者マイク・タイソン(55=米国)から殴打された乗客男性が、弁護士を雇って訴訟準備を行っていることが明らかになった。

21日に米カリフォルニア州サンフランシスコからフロリダ州マイアミに向かう機内で、タイソンが後部座席に居合わせた男性とトラブルになった。元王者が顔面を殴打する様子を撮影した映像が、オンラインメディアTMZで公開され、衝撃を与えていた。

被害者の弁護士はTMZに、「私たちの依頼人はマイク・タイソンの大ファンです。機内に乗り込んできたので、過剰に興奮してしまった」と説明し、タイソンはそんなファンに対して客室乗務員に苦情を申し立てるだけで良かったはずだと批判した。

さらに、タイソンの代理人が飲料水の入ったペットボトルを投げつけられたと主張していることに対しても、「殴られる前に投げつけていない」と否定した。「史上最強のファイターの一人であるタイソン氏は、過剰に興奮したファンに手を上げる前にもっと自制すべきだったことは明らかだ」とコメントしている。

殴られた男性は顔面から流血するけがを負ったが、その場で手当てを受けて軽傷で、駆け付けたサンフランシスコ市警察官の取り調べを拒否し、刑事告発しないと主張したことから、タイソンも男性はその場で釈放されたという。

関係者によると男性は事件にショックを受けており、身体的なけがに加えて騒動が大きくなってメディアからの問い合わせが相次いでいることなどからカウンセラーを雇ったとTMZは伝えている。

メディアやファンからは、「キレたタイソンがもちろん悪いが、何もないのに一般人を殴るわけがない」とタイソンを擁護する声も上がっている。

事件を受けて降機を命じられたタイソンは、翌日に米総合格闘技団体UFCのダナ・ホワイト代表のプライベートジェットに同乗してマイアミに移動し、現地で行われていた大麻のイベントに姿を見せたという。

会場では何事もなかったかのようにファンと記念撮影に応じるなど終始ご機嫌だったといい、暴行後にはインスタグラムに「87年のジェームス・スミスとの試合に向けて練習する古い映像を見つけた」とコメントを添え、リング上でスパーリングする姿まで投稿している。

これに対し、ファンからは「さすがタイソン」「飛行機の再現みたいだ」と応援メッセージが多く寄せられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)