昭和の上方演芸を代表する松竹新喜劇の名優、藤山寛美さん(享年60)の三十三回忌追善興行「藤山寛美三十三回忌追善喜劇特別公演」の公開通し稽古が2日、大阪松竹座で行われた。開幕3日を翌日に控え、寛美さんの娘藤山直美(63)と、孫藤山扇治郎(35)が最終確認を行った。

寛美さんが演じた作品の中から抜粋して上演。直美は「大阪ぎらい物語」で主人公を女性に置き換えて演じ「芝居の理屈は抜きにしなければならない。情愛、人のことを一番に考えるなど大切な部分が伝わればいい」と語った。

寛美さんに伝えたいことを問われると、扇治郎は「おばさんも元気で舞台に立っているよと伝えたい。作品は違えど自分も同じように立てていることに喜びを感じています」。祖父が活躍した松竹新喜劇に在籍する今、あらためて偉大な大先輩への思いを語った。扇治郎は、渋谷天外とともに「愛の設計図」に臨む。

直美は「とにかくお客さんに喜んでいただきたい。何をしてでも笑ってもらえばいいものではない。芝居の芸と品を大切に演じたい」と言い、寛美さんの残した喜劇人としての心意気を思い抱負。扇治郎は「体調に気をつけて千秋楽までしっかりと務めあげたい」と、気を引き締めた。

本公演は大阪松竹座で5月3~26日まで行われ、芝居は2本立て。公演の間には若き日の藤山寛美さんを回想した「藤山寛美 偲面影」も上映される。

大阪公演の後は7月1~25日まで東京・新橋演舞場、10月1~23日まで京都南座でも予定されている。【波部俊之介】