河瀬直美監督(53)が22日、都内の日本外国特派員協会で東京オリンピック公式記録映画「東京2020 SIDE:B」の会見を開いた。

質疑応答の中で、河瀬監督は「同じ現実があっても是枝監督が撮るのと私が撮るのとは違う」と、ともにカンヌ映画祭の常連でもあり、世界的に評価の高い是枝裕和監督(60)の名前を挙げた。その上で国際オリンピック委員会(IOC)から、市川崑監督が手掛けた64年の東京五輪記録映画「東京オリンピック」(65年)を引き合いに「市川崑の時代に立ち返り、あなたしか撮れないものを撮って欲しい」と依頼があったと明かした。その上で「ここ10年、オリンピック公式記録映画は誰が撮っても変わらないものになっていた。ひな型があった中にエピソードがはまっていき、どこの国でやっても、そんなに変わらないものになっていた。IOCの依頼は全う出来たと思う」と語った。

そして「莫大(ばくだい)なお金が投入されて、IOCの言うような映画にはめ込んでいくことをイメージされているのかも知れませんし、もっと言えば組織委もしくは政府の言うとおりにやっているんじゃないかと思われているかも知れませんが…見た方は河瀬の映画と見ていただいている。これこそ、3年半かけて映画監督のスキル全てを投影し、作り上げたと誇りを持って言える」と強調。IOC、JOCや政府の意向を抜きに、あくまで自分が取材し、見たものを描いたと語った。

その上で、製作費についても「市川崑時代と同じお金しか使わせてもらっておりません。そんな中で1年延期し、追加予算もほぼないんです」と、コロナ禍で大会が1年、延期されても増えていないと強調した。