引退宣言をすることなく、1992年(平4)に歌謡界から姿を消して30年。新曲が出なくても根強い人気を持ち続ける歌手ちあきなおみ(74)の約3年半ぶりとなるコンセプトアルバム「残映」が10月19日に発売されることが7日、分かった。

これまでに歌唱した367曲の中から、男女の恋愛模様や、未練心を描き出した17曲を集めた。歌謡曲や演歌、シャンソンなど幅広いジャンルの歌唱を堪能できる1枚で、全曲を最新リマスタリング処理した。

CD不況と言われる令和の新時代でも、ちあきの作品は色あせない。美空ひばりさんが後継指名した表現力と歌唱力は健在で、タワーレコードやHMVなどの若い世代が集まる外資系レコード店での売り上げは年々増加。リアルタイムで知らない世代にも、時代を超えて楽曲が刺さっている証しだ。19年4月発売のアルバム「微吟」も4万枚を売り上げる人気だった。

プロデューサーの東元晃氏は「今作は、新しくちあきさんの代表曲になりつつある『秘恋』『アコーディオン弾き』『ラ・ボエーム』の外国曲など聞き手の感性に訴えかける曲の数々です。『微吟』は発売から3年半を経過するもいまだに高い評価を頂いておりますが、その姉妹盤です」とアピールしている。

ちあきは夫の郷■治さんが55歳の若さで亡くなったことをきっかけに、92年以降は一切の芸能活動を休止している。

◆ちあきなおみ 本名・瀬川三恵子。1947年(昭22)9月17日、東京都出身。4歳からタップダンスを始め、幼少のころに米軍キャンプを回った。69年「雨に濡れた慕情」で歌手デビュー。「四つのお願い」などがヒットし、72年には「喝采」で日本レコード大賞。83年に「居酒屋兆治」で映画初出演。89年の一人芝居「LADY DAY」は高い評価を受けた。俳優郷■治さんと78年に結婚し、92年に死別。葬儀の際、火葬場で「私も中に入りたい」と泣き崩れたエピソードは有名。その後、自主休業している。

※■は金ヘンに英