ザ・ドリフターズのメンバーでタレントの仲本工事(なかもと・こうじ、本名・仲本興喜=なかもと・こうき)さんが19日午後10時22分、急性硬膜下血腫のため亡くなった。81歳だった。仲本さんは今月18日、横浜市西区の交差点で乗用車にはねられ、頭を強く打ち重傷を負い、病院ですぐに手術を受けたが、危険な状態が続いていた。ドリフメンバーとしては、新型コロナウイルスによる肺炎で20年3月に亡くなった志村けんさんに続く、悲しい訃報となった。

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仲本さんは今月18日午前、横浜市西区浅間町5丁目の横断歩道のない交差点を歩いて渡ろうとしたところ、ワゴン車にはねられた。頭を強く打っておりすぐに手術を受け、手術は無事に終了したが、小康状態だったという。妻の演歌歌手三代純歌(54)やマネジャーらが付き添い、回復を祈っていたがかなわなかった。搬送された時には、頭から血を流し、意識がもうろうとしていた。

所属事務所は亡くなった約1時間後に公式サイトで訃報を発表。「葬儀等の対応については、ご親族を含めた関係各所と協議した上で後日ご報告をいたします」としている。

仲本さんはドリフターズのギターとボーカルを担当。特技の体操を生かし、コントでも活躍した。私生活では3度の結婚を経験。12年に、27歳年下の三代と再々婚した。盛大な結婚披露宴も開き、純歌とはデュエット曲もリリースした。

その後、夫妻で東京・目黒区内で居酒屋やカラオケスナックなどの飲食店を営んでいたが、コロナ禍の影響もあり、店は休業状態だった。昨年からは、純歌が横浜市内でカレー店を始めたこともあり、別居状態と報じられたこともあった。

仲本が事故に遭ったのは、純歌が経営するカレー店の近くの交差点だった。

仲本さんは41年7月5日、東京都生まれ。成績優秀の優等生で、体操選手としても好成績を残した文武両道の学生生活を経て、学習院大卒業後にザ・ドリフターズに加入した。69年スタートのTBS系「8時だョ! 全員集合」で活躍。「ドリフ大爆笑」では、いかりや長介さん、高木ブーとともに登場した「雷様」のコントなどでも人気を博した。

俳優としては、90年のTBS系ドラマ「水戸黄門第19部」で左甚五郎を演じた。97年のフジテレビ系「総理と呼ばないで」や「世にも奇妙な物語」にも出演。元号が令和に変わってからも、20年のTBS系日曜劇場「テセウスの船」などに出演し活躍を続けた。20年9月からは公式YouTubeチャンネル「仲本工事の ありがと~ね~ チャンネル」を立ち上げ、YouTuberとしても活動。

来月には舞台「『日本昔ばなし』 貧乏神と福の神~つるの恩返し~」(東京芸術劇場シアターウエスト)に出演する予定だった。今月7日の制作発表では貧乏神を演じることに「私自身、ドリフのメンバーがだんだんいなくなって、仕事もなくなって。(都内で営む)お店もうまくいかなくて、だんだん貧乏に…。だから素のままで演じたいと思います」と自虐コメントで笑いを誘うなど、最後までコメディアンだった。

20年3月、ザ・ドリフターズで長年活動を共にした志村けんさんが新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎のため亡くなった際、追悼特別番組に出演。「ドリフも順番に逝く年になったとは思ったけど、一番若い志村が長さん(いかりやさん)の次になるとは…。非常に悔しいです」と悼んでいた。