外山文治監督(42)が24日、東京・渋谷ユーロライブで行われた主演映画「茶飲友達」(2月4日公開)完成披露試写会に登壇。2013年(平25)年10月に発生した、高齢者売春クラブが警視庁に摘発された事件をに着想を得て、オリジナルの企画を作った意図を語った。

外山監督は、13年に公開した映画「燦燦-さんさん-」で、吉行和子演じる77歳の主人公が最愛の夫を亡くし、婚活を決意する物語を描いた。同作には、宝田明さんと山本學も出演した。同監督は「出発点は10年前。『燦燦』で時代の半歩、先を提示できたかなと思ったら、高齢者売春クラブの事件があり、映画より現実が先を行っているんだなと」と当時を振り返った。

摘発を受けた高齢者売春クラブの会員数は、男性1000名、女性350名、最高齢は88歳だった。外山監督は「摘発された、シニア会員はどうなるんだろう。法を犯すのは、良くないんだけど、自分の中の善と悪を揺さぶられた…いつか映画にしようというのが出発点だった」と当時、感じた思いを語った。

構想から10年かかって映画化していく中で、事件に着想した物語に、現代のエッセンスを入れた。外山監督は「現代は、若者の閉塞(へいそく)感がある時代なので」と、映画で描いた高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」の運営サイドを若者に変えた。

外山監督は「高齢者売春クラブの部分だけ見ると、どういう映画だと思うかも知れないけれど、描かれていることを1つ1つひもとくと、これが日本社会だと思っていただける作品だと思う」と自信を見せた。

◆「茶飲友達」 妻に先立たれ孤独に暮らす時岡茂雄(渡辺哲)が、ふと目にしたのは、新聞の三行広告に小さく書かれた「茶飲友達、募集」の文字。その正体は、高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」だった。運営する代表の佐々木マナ(岡本玲)とごく普通の若者たちは、65歳以上の「ティー・ガールズ」と名付けられたコールガールたちに仕事をあっせんし、ホテルへの送迎と集金を繰り返していた。ティー・ガールズは、介護生活疲れやギャンブル依存など、さまざまな事情を抱える女性で、運営する若者たちも出口の見えない社会の中で閉塞(へいそく)感を抱えて生きており、マナは“ファミリー”と呼び、疑似家族のような絆を育んでいた。ある日、高齢者施設に住む老人から「茶飲友達が欲しい」という救いを求める1本の電話が鳴る。