3日に歌手近藤真彦(58)、7月2日に閉館する東京・中野サンプラザで2300人を集めて「Masahiko Kondo Live Tour M5K8 Final-Episode」を開いた。87年から中野サンプラザで50公演以上のコンサートを開いてきた近藤にとって、4日に野村義男(58)と開くライブとともに最後の中野サンプラザのステージだ。

近藤は取材に応じて、89年に52歳で亡くなった美空ひばりさんの88年の同所でのコンサートを訪れたときのことを振り返った。そして、業界の伝説になっている、近藤のひばりさんに対する「おばさん、歌うまいね」発言の真相を明かしてくれた。

近藤は「黒柳徹子さんと永六輔さんが大げさに言うから広まった」と苦笑いしながら話し始めた。「ある歌が流れている会場で、歌っている人がひばりさんとは知らずに、マネジャーに対して『あのおばさん、うまいね』と言ったのが、周囲に広まって、ひばりさんの耳に入ったんです」。

ひばりさんは「あの子を楽屋に連れてきなさい」と命じた。“女王”美空ひばりの怒りに触れたかと、周囲は恐れおののいたが「ひばりさんは喜んでくれてました。『私は小さい頃から、“歌がうまいね”と言われてきたのに、最近は言ってくれる人がいないから』と最高にハッピーでした。十段重ねくらいの豪華なお弁当を『マーちゃん、食べていきなさい』って言ってくれて、おいしく食べてきました。ひばりさんの息子の加藤和也君のことを『うちの和也がね、あなたのファンなの』って話していました」。

そして、79年から82年にかけて放送され、レギュラー出演していたNHKの「ばらえてい テレビファソラシド」を振り返った。近藤は「16歳くらいの時かな。タモリさん、永六輔さん、内海好江・桂子さん、小堺一機さん、そしてアナウンサーが加賀美幸子さんと頼近三津子さんという豪華版。番組テーマソングを、ひばりさんと歌ったんだけど『まだまだね』って言われました。石原裕次郎さんとも、一緒に歌ったことがあるけど『まだまだだな』って言われました」と振り返った。

そして「昭和の大スターに直接会っているのは、僕の財産。スターというものは、こんなにも輝いているものなんだというのを目の当たりにした」と話した。

79年に15歳でTBSの連続ドラマ「3年B組金八先生」で俳優デビュー。80年に16歳で「スニーカーぶる~す」で歌手デビューした近藤も、今年7月には59歳。来年には60歳となる。2日に同じジャニーズ出身の先輩、川崎麻世(60)の還暦パーティーにサプライズで駆けつけて祝福した。「還暦前にでかいことをやろうかなと。だけど、なんでみんな、でかいことをやるのかな。静かに迎えたいよね。『ジジイになったぞ』って言ってるみたいだからね(笑い)。麻世のパーティーには内緒で行きました。内緒じゃなきゃ行かなかった。麻世、半べそかいてたな」と笑顔を見せた。

昭和のスターの輝きを知り、そして自身も昭和、平成、令和と輝き続けている。【小谷野俊哉】