「料理の鉄人」の放送開始から公私ともに行動をともにしていた日本料理の重鎮、道場六三郎さん(92)も陳建一さんが亡くなったことを悔しがった。息子健太郎さんから息をひきとった11日午後に電話で聞いたという。

道場さんは、陳さんが中国料理の名門となった「四川飯店」の看板をしっかり守ることにこだわったことをほめたたえた。「陳さんは元気なうちに健太郎さんに社長を譲って、自分が会長に退いた。味を継承していくということを父建民さんから教わって、その通りに実行した。エラいよ、エラかったよ」と陳さんに話しかけるように話した。

一緒にゴルフによく行ったという。「あのね、陳さんの手帳をちょっとのぞいたの。そうしたら1カ月で25日ゴルフ、って月があった」と振り返り「一緒に回っている人を楽しませるんだよね。ドライバーでかっ飛ばすときに『サン・ラー・タン』とか周囲を笑わせながらボールを打っていましたね」と話した。

持ち前の周囲を喜ばす陳さんのエピソードを披露しながらも「でもね、陳さんは真面目なんだよ」と語り「ゴルフは几帳面(きちょうめん)でフェアウエーをがっちりキープする正確なショットだったね。料理も基本に忠実。私はそのときの気分でけっこういいかげんにやっちゃうけど、陳さんはいつも真面目だった」と話した。

地方のロケやバイキング形式のパーティーなどでは「本当によく食べるんだよ。こっちはおなかいっぱいなのに『道場さん、行きますよ、締めのラーメン』とか言って、本当に食べちゃう」と目を細めて当時を思い返していた。