英国のヘンリー王子(38)が27日、英歌手エルトン・ジョンらとともに英タブロイド紙デイリー・メールの発行元をプライバシー侵害で訴えている裁判で、原告として英ロンドンの王立裁判所に出廷し、極秘帰国していたことが明らかになった。王子が英国で公の場に姿を見せたのは、昨年9月にエリザベス女王が死去して以来半年ぶりで、今年1月に回顧録「スペア」を出版してからは初の帰国となる。

白いシャツにダークスーツ、ネクタイを身に着けた王子は、大勢の報道陣が集まる裁判所前に突然、タクシーで現れた。王子の帰国を事前に察知していたマスコミはおらず、大きな驚きを持って伝えられている。報道陣に囲まれた王子は、時折笑みを見せる余裕も見せていた。いつまで英国に滞在するのかは分かっていない。

4日間の日程で始まった審理では、弁護士の2列後ろの席に座って時折メモを取りながら熱心に行方を見守っていたといい、法廷には原告に名を連ねる女優サディス・フロストの姿もあったと米ピープル誌が報じている。また、ジョンも裁判所を訪れたのが確認されている。

王子は5月6日に行われる国王の戴冠式に出席するのかどうか注目されており、一部報道では出席の条件として国王や兄ウィリアム皇太子からの謝罪と話し合いを求めているとも言われている。しかし、皇太子一家はウィンザー城にあるアデレードコテージを離れて別邸で春休みを過ごしており、国王も29日からドイツを訪問予定であることから、今回の滞在中に面会が実現する可能性は低いと米ピープル誌は伝えている。

王子は昨年10月、電話を盗聴されるなどプライバシーを侵害されたとしてジョンとパートナーのデヴィッド・ファーニッシュ氏、女優エリザベス・ハーレイらとともに発行元のアソシエイテッド・ニュースペーパーズを提訴。代理人を務める法律事務所は、探偵を雇って車や家に盗聴器を設置したり、私的な電話の盗聴や不正に銀行口座など金融取引の履歴にアクセスされた主張している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)