「二代目 橋幸夫を探せ!」の最終オーディションが1日、都内で開催された。「潮来笠」「霧氷」などで知られる橋幸夫(79)は5月3日の80歳の誕生日で、63年の歌手活動から引退する。同オーディションは「橋幸夫」の名前と楽曲を継承する歌手を選ぶ。当初は2月18日に行う予定だったが、12歳から78歳までの男女1000人以上の応募があったため、日程を変更していた。

この日は1次審査を通過した30名が参加。橋の楽曲を歌う最終審査で、川岸明富さん(あとむ、21=大学生)、進公平さん(27、会社員)徳岡純平さん(22、大学院生)と、補欠でプロ歌手の小牧勇太(42、夢グループ社員)の4人が「二代目 橋幸夫」に選ばれた。4人は「光栄」「頑張る」と異口同音に喜んだ。

芸名は「橋幸夫」の名前をそのまま継ぐのではなく、「橋幸雄」「橋幸生」のように、「夫」の部分の字は変える。本名の「橋幸男」も除外される。小牧以外の3人は、基本的に夢グループの社員になって、同社の仕事をしながら歌手活動を行う。

審査員を務めた橋は「私が引退して、私の歌が歌われなくなるのは寂しいし、悔しい。ぜひ歌い継いでほしい。作ってくださった(作詞、作曲の)先生は何百人もおり、亡くなった方も多いが、歌い継がれることを喜んでくれていると思う」と話した。

橋が所属する夢グループ石田重廣社長(64)は「4人でのグループ活動を基本として、ソロでも歌う。橋さんはデュエット曲も多いので、将来的には女性を1人加える。そのオーディションもやります。学生の方はまずそちらを優先してほしい」と構想を明かした。グループ名は後日、決めるという。

ゲスト審査員のテリー伊藤(73)は「最終ランナーとして4名残ったが、ここから切磋琢磨(せっさたくま)して、努力した人だけが橋幸夫を名乗れると考えてほしい」と厳しい口調で鼓舞した。

橋は昨年、京都芸術大通信教育学部書画コースに入学した。歌手活動を終えた後は本名で、書画作家に比重を置く。「もうかなりの作品ができています。私は(歌手と)違う道で動いていこうと思います」と話した。もっとも、石田社長は4人のボイストレーニングなど「今後も関わってもらう」と話した。

5月1日に東京・浅草公会堂で行われる橋のラストコンサートで、4人の「はし・ゆきお」がお披露目される。4人のデビューは、橋が「潮来笠」でデビューした7月5日になるという。同曲や他の代表曲をグループ、ソロで歌うミニアルバム形式になりそうだ。【笹森文彦】