ムツゴロウの愛称で親しまれた作家の畑正憲(はた・まさのり)さんが5日午後5時53分、心筋梗塞のため北海道中標津町の病院で死去した。87歳。福岡県生まれ。葬儀は親族で執り行う。喪主は、妻純子(じゅんこ)さん。動物との共生を掲げた「動物王国」をつくり、お茶の間の人気を集め、マージャンの強さでも知られた。

畑さんは71年に北海道厚岸郡の無人島にクマや馬を連れて移住した。72年には北海道浜中町に「ムツゴロウ動物王国」を建設し、イヌやクマなどさまざまな動物と暮らしながら、自然保護活動を続けた。

80年に始まったドキュメンタリー番組「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」は人気シリーズとなった。ライオンと顔をなめ合ったり、アナコンダに巻きつかれたり、熊に口移しでえさをあげたり、ゾウと水を掛け合って遊んだり…。「よ~し、よしよしよし」と言いながら、相手の体をなでまわし、どんな動物とも仲良くなった。CM撮影では犬の役を演じた俳優織田裕二の顔をなめ、NGを出してしまうこともあった。

最近ではYouTubeチャンネル「ムツゴロウの656」で発信していた。3月26日に公開した女性犬ぞり操縦者スーザン・ブッチャーさんと話をした際の振り返りが生前最後の回となってしまった。長袖のポロシャツ姿で身ぶり手ぶり、抑揚をつけながら一人語り。生き物愛にあふれた語り口は健在だった。

菊池寛賞を受賞した作家の一面。映画「子猫物語」で脚本、監督を務めたプロデュース力。日本プロ麻雀連盟の最高顧問も務め、役満をよくあがったという勝負強さ。さまざまな顔を持つ多才な人だった。

◆畑正憲(はた・まさのり)本名同じ。1935年(昭10)4月17日、福岡県生まれ。父が医師で、5歳で家族と旧満州へ渡る。小学3年で大分に帰国。58年、東大理学部生物学科動物専攻を卒業。61年に学習研究社に入社、学術映画プロデューサーに。68年に退社後、作家活動を開始。北海道へ渡り、72年浜中町に「動物王国」を建国。動物文学の第一人者として著書も「ムツゴロウの青春記」など多数あり、77年に第25回菊池寛賞を受賞した。86年に映画「子猫物語」監督。11年に日本動物学会教育賞受賞。日本プロ麻雀連盟の最高顧問で、タイトル戦「最高位戦」も発案。愛称の「ムツゴロウ」は魚のムツゴロウに風貌が似ていることから。