英国のヘンリー王子(38)が、5日に英ロンドンの高等法院で始まった英ミラー紙を発行するミラー・グループ・ニュースペーパーズ(MGN)を訴えている裁判を欠席し、波紋を広げている。

スクープ目的で携帯電話の留守電をハッキングするなどして個人情報を違法に収集したとして提訴している裁判で、王子は証人として出廷が予定されていた。4日に長女リリベットちゃんが2歳の誕生日を迎えたことから、誕生日会を優先させたものと見られている。

原告である王子の欠席について弁護士は、娘の誕生日を祝うため、英国到着が遅れたと説明。「日曜日の夜にロサンゼルスから英国に向けて出発した。明日、証拠を提出するため出廷する」と述べると、判事が「驚いた」と遺憾の意をあらわにしたと複数のメディアが報じている。MGNの代理人も王子の欠席を「大きな問題」「異常」だと非難し、時間を無駄にしたと激怒しているという。王子はプライバシーの侵害などで英国のタブロイド紙の出版元3社を訴えており、これが最初の裁判となる。

欧米メディアによると、過去に飼い犬が子どもを襲った事件で有罪になった叔母のアン王女が2002年に裁判に出廷したことはあるが、王室の上級メンバーが証言台に立って証言するのは1891年以来132年ぶりだと伝えられている。王子は今年3月に英デイリー・メール紙の発行元を訴えている裁判の予備審問にも出廷しているが、この時は証言台には立っていない。5日と6日に反対尋問が行われる予定だが、裁判そのものは6月末まで続くという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)