6日に盗聴など違法な手段で個人情報を収集したとして英デイリー・ミラー紙などを発行するミラー・グループ・ニュースペーパーズ(MGN)を訴えている裁判に出廷して王室の上級メンバーとして約130年ぶりに証言台に立った英国のヘンリー王子が、法廷で「二枚舌のくそ野郎」と非難した母ダイアナ元妃の執事だったポール・バレル氏から「うそを述べるのはやめろ」と謝罪を要求された。

法廷で王子は、2003年にダイアナ元妃の死後に私物を売却したバレル氏を問い詰めるため兄ウィリアム皇太子と共に会いに行く可能性があると報じられたことについて、オーストラリア滞在時に皇太子の電話に残したボイスメッセージをハッキングして得た情報を基にしていると証言。証人陳述の中で、同氏が母親の私物を売却したり、何度もインタビューに応じて元妃についてメディアで話したことを「無思慮」と非難し、信頼していた人物が母の死に際して行った行為に腹が立ったなどと述べていた。ちなみにMGN側は、この記事の情報源はハッキングによるものではないと否定している。

この証言に対してバレル氏は、英GBニュースのインタビューで「陳述書の中で私がダイアナ元妃の私物を売却したと断言しているが、そのような事実はない」と反論し、名誉毀損(きそん)に当たると主張して謝罪を求めた。同氏は元妃の私物を盗んだ疑いで起訴されたものの、エリザベス女王が提出した証拠によって訴えは取り下げられていると述べ、「古い話を持ち出すべきではない」とコメント。「王子が幼い頃から彼の母そして、兄弟を常に守り、愛してきたことをよく知っているはず」と語り、ヘンリー王子の法廷での発言は真実ではない述べ、軽率で無神経だと批判した。

王子は法廷で、自身の友人や恋人、家族など全ての人間関係において第三者、つまり大衆紙の関与を感じると話し、「人間関係に多大な被害妄想を引き起こし、誰も信じられなくなった」「卑劣な行為」とメディアを批判していた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)