英王室を離脱したヘンリー王子が7日、前日に引き続き、盗聴などの違法な情報収集があったとして英デイリー・メール紙の発行元ミラー・グループ・ニュースペーパーズ(MGN)を訴えている裁判に出廷し、2日目の証言台に立った。

この日の尋問では記事がハッキングによるものだと証明するために過去にストリップクラブに行ったことや自身の恋愛生活について自ら詳細を語ったといい、長時間に及んだ証言の終盤には涙をこらえるような場面もあったと伝えられている。また、王子の主張についてMGNの弁護士から「証拠はあるのか?」と厳しく問い詰められるも「分からない」と繰り返し、決定的な証拠を示すことはなかったという。

裁判を起こした理由について自身と妻のメーガン妃に向けられる侵入と憎しみを止めるためだと述べた王子だが、ハッキングはなかったと判決が下された場合は「失望するか?安堵(あんど)するか?」と問われると「不公平だと感じるでしょう」と答えたという。

英サン紙によると前日の尋問でも3時間の間に18回「分からない」と返答していた王子は、MGNの弁護士から「完全な臆測の世界にいる」と非難されたという。盗聴やハッキングをされたとの主張を裏付ける具体的な証拠を提示することができなかった王子は、1日半に及んで証言台に立った感想を問われると、感情的な様子を見せ、下を向いてしばらく黙り込み、静かに「大変だった」と答えたとニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。

2日間にわたる証言を終えて夕方に裁判所を立ち去る際には、安堵したのか集まった支援者やファンからの声援に笑みを見せていた。記者の問いかけには無言だったものの、報道時に向けて手を振る余裕も見せ、迎えの車に乗り込んだと米Usウィークリー誌は伝えている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)