4人組ガールズロックバンド、花冷え。が7月28日に、東京・渋谷WWWで「待たせたな!結成8周年にして初ワンマンツアー!!」を開催した。
大阪、名古屋に続く東名阪初ツアーの最終公演。同26日に、アルバム「来世は偉人!」でソニー・ミュージックレーベルズからメジャーデビューした直後だったこともあり、会場は超満員となった。
ロックにはヘビメタ、パンク、ハード、ブルース、オルタナティブ、グラムなど、多くのジャンルがある。和製英語の「ラウドロック」もその1つで、花冷え。はこのジャンルのガールズバンドだ。
ラウド(Loud)とは「大声、騒々しい」などの意味。ラップやシャウトなどなどさまざまなボーカルテクニックを組み込み、盛り上がる楽曲が多い。サビがメロディアスなのも特徴だ。
特筆すべきは、ボーカル・ユキナのデスボイスだ。“死の声”ではない。distortion(音のひずみ)が語源の1つと言われ、強烈なだみ声やがなり声の歌唱法だ。かわいらしい声でも歌うだけに、「どうしてこんな声が出せるの!」と驚く。
一方で、リーダーでギターのマツリが、美しいクリーンボイスでサビを歌う。花冷え。の聴かせどころで、この好対照なツインボーカルを、ヘッツのベースとチカのドラムが、迫力満点の演奏でけん引する。
マツリは「みんなが日常的に聴いているジャンルではなく、ちょっとアンダーグラウンド。なので、キャッチーさや聴きやすさを最大限にして、このジャンルをやるのが私達の強みです」と語る。
初のワンマンツアーでは、そのアンダーグラウンドさを強烈に印象付けた。アルバム収録曲「超次元ギャラクシー」でスタートすると、すぐに熱狂の渦となった。ユキナのデスボイスに、観客がヘッドバンギング(頭を激しく上下に振る動作)で応じた。
「NEET GAME」「令和マッチング時代」「我甘党」「TOUSOU」「お先に失礼します。」など、代表曲の数々を速射砲のように披露した。ファンは体ごとウエーブするなど、その熱量で会場は揺れ続けた。
ユキナは中学時代はJ-POPやアイドルの歌を聴いていたが、自己流で喉を鍛えて、デスボイスを習得した。「シャウトだと、何言っているか分からない部分もあるじゃないですか。なので歌詞カードを見た時に、あっ、やっぱりこういうこと言ってたんだとか、あれ、こんなこと言ってたの、みたいな、そういう発見をできるワクワクさ、楽しさは(作詞の際に常に)考えています」と言う。
基本的に「等身大」がバンドのコンセプトにある。マツリは「歌詞も同世代の子が共感できるものを意識しています。聴いてくれる方が、いろんな目線で、感じて、考察してくれればと思います」。
花冷え。は、15年に都内の高校の軽音楽部員で結成された。バンド名は、メンバーの誕生日が桜が咲くころに急に冷え込む「花冷え」の時期に多かったことから命名された。
ユキナはメジャーデビューアルバム「来世は偉人!」についてこう語る。「このアルバムが誰かにとっての歴史的1枚になって、私達が来世に、その誰かの偉人になれたらという思いが込められています」。
初のワンマンツアーを終えて、すぐに約2カ月間の欧米ツアーに出発した。「我甘党」や「お先に失礼します。」のミュージックビデオが、SNSを通じて海外でも注目されているのだ。
ヨーロッパツアーは8月4日(現地時間)にスロベニアでスタート。以後、フランス、イギリスなど10カ国11都市で11公演を行う予定。アメリカツアーは9月9日(同)のバージニア州タンビルを皮切りに、ニューヨーク、カリフォルニアなど16州21都市で21公演を行う予定だ。ワンマンライブのほかに、フェスへの出演、複数バンドとの共演なども含まれるが、デビュー直後としては異例だ。
マツリは「海外はもちろん初めて。日本とは違う反応やノリを直に感じられるのがすごく楽しみです」。2年後には10周年の節目を迎える。「日本武道館でできれば」とマツリ。この勢いなら、もっと早く実現するかもしれない。【笹森文彦】
◆花冷え。(はなびえ。) アルファベット表記はHANABIE.。15年5月結成。16年10月に初のオリジナル曲「CRASH OVER」などを制作。17年8月に高校生バンド甲子園「スクールズアウト2017」で準優勝。18年4月に「Japan Expo Rocks 2018」コンテストで、唯一の10代バンドとして決勝大会進出。18年に初のミニアルバム「開花宣言」をインディーズでリリース。19年11月にデジタルシングル「L.C.G」を、21年にフルアルバム「乙女革命」をリリース。以後、次々とデジタルシングルを発表。



