ジャニーズ事務所は7日、都内で会見を開き、ジャニー喜多川氏(19年に死去)による性加害の事実を事務所として認めた。前社長の藤島ジュリー景子氏(57)や新社長に就任した東山紀之(56)らが謝罪した。東山は「鬼畜の所業」「人類史上最も愚かな事件」と厳しい言葉を使い、タレント業引退も表明。4時間12分におよんだ異例の会見で、被害者の救済など、創業者のジャニー氏が残した問題の責任を果たす覚悟を示した。

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約300人の報道陣が集まる中、ジュリー氏、東山、ジャニーズJr.のプロデュースを手がける「株式会社ジャニーズアイランド」社長の井ノ原快彦(47)が登壇した。ジュリー氏は「ジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております。被害者の皆さまに心よりおわび申し上げます」と頭を下げた。今月5日付で社長を引責辞任し、東山が新社長に就任したと伝えた。東山は厳しい表情で「ジャニー喜多川氏の性加害を認め謝罪します。この事実に真摯(しんし)に向き合うために、年内をもって表舞台から退きます」と述べた。

事務所としての性加害の事実認定は、会見の大きな焦点の1つだった。ジュリー氏は5月に公式サイトの動画で、性加害について「知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」と話していた。だが先月29日、同事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が会見を開き、長年にわたる性加害を事実と認定。被害者救済措置制度の構築やジュリー氏の退任も提言していた。

ジュリー氏が公の場に現れるのは初めて。「あの(動画の)時点では十分な調査ができておらず申し訳ありませんでした」と謝罪した。「叔父のしたことですので、めいの私が責任をとります」と誓った。100%株主として社長辞任後も代表取締役にはとどまり、被害者救済、補償などを迅速に進めるという。

東山は「(性加害の)うわさは知っていましたが、恥ずかしながら何もできず、何の行動もしてこなかった。私自身被害を受けたことはなく、性被害の現場に立ち会ったこともなく、先輩からも後輩からも相談はなかった」と述べた。井ノ原も、性加害のうわさはあったとした上で「被害に遭われた方が相談できない空気があったと思う。えたいの知れない、それには触れてはいけないという空気があった」と表現した。

被害者救済について、東山は「法を超えての救済、補償が必要。夢や希望を握りつぶされた彼らと、夢をあきらめた僕とが、対話することがいいと思います。時間を区切るということはないので、長い道のりになるという覚悟」と説明。外部のチーフコンプライアンスオフィサー(最高コンプライアンス責任者)を招聘(しょうへい)し、「徹底した再発防止、ガバナンスの再構築」を行うとした。

東山は「人類史上、最も愚かな事件だと思います。まず1歩を踏み出さないといけない」と語気を強めた。ジャニー氏への愛情が残っているのでは、と指摘されると「やっていることは鬼畜の所業。愛情はありません」と言い切った。

ジャニーズタレントのファンへの思いを聞かれ、ジュリー氏が涙する一幕があった。東山は「厳しさも、耐えなければならないこともあると思う。陰で流す涙の量がファンの人たちの思いに応える唯一の作業。それを怠らないようにしていきたい」と語った。「新社長として失われた信頼を取り戻すべく全力でつとめてまいります。今後の人生、命をかけ、この問題に取り組んでまいります」と誓った。【横山慧】

◇性加害問題の経緯◇

▼1999年 週刊文春がジャニー氏によるジャニーズ事務所所属タレントの少年へのわいせつ行為を報じる記事を掲載

▼2002年 記事で名誉を傷つけられたとして同事務所と喜多川氏が起こした訴訟で、東京地裁が文春側に計880万円の賠償を命じる

▼03年 東京高裁が賠償額を120万円に変更。記事の真実性を認める

▼04年 最高裁が同事務所側の上告を退ける。東京高裁判決が確定

▼19年 ジャニー氏が死去。87歳。藤島ジュリー景子氏が社長に就任。

▼今年3月7日 BBCがジャニー氏の性加害疑惑について報道

▼4月12日 カウアン・オカモトさんが被害者として実名顔出しで会見

▼5月14日 ジャニーズ事務所のジュリー氏が謝罪する動画と文書を公開

▼同16日 立憲民主党が国会内でカウアン・オカモトさんと橋田康さんにヒアリング

▼同21日 ジャニーズ最年長タレントの東山が番組で「ジャニーズという名前を存続させるべきなのかを含め、外部の方とともに全てを新しくし、透明性をもってこの問題に取り組んでいかなければならない」などと発言し謝罪

▼同26日 ジャニーズ事務所が対応策を発表。WBC侍ジャパンのヘッドコーチ白井一幸氏ら3人の「社外取締役の就任」、「心のケア相談窓口の開設」、「外部専門家による再発防止特別チームの設置」の3点を報告

▼6月26日 元ジャニーズJr.の二本樹顕理氏と中村一也氏が発起人となり「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が発足

▼8月4日 外部専門家による再発防止特別チームが調査結果を踏まえた提言を8月末頃に行う見込みと発表。ジャニーズ事務所も「本特別チームの提言を受けて、できるだけ早く、今後の弊社の取り組みなどについて記者会見にてご説明させていただく予定」

▼同日 国連人権理事会作業部会が問題を調査し会見。政府主体の救済を求める。来年6月、同理事会に最終報告書を提出する予定

▼同29日 ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」(座長・林眞琴前検事総長)が都内で会見。性加害の事実が認められたと報告し、ジュリー氏の辞任などを要求、提言。

▼9月7日 ジャニーズ事務所が会見。ジュリー氏が辞任し、東山の新社長就任を発表