成長はどこまで続くのだろうか。女優上坂樹里(20)の活躍がめざましい。今春からは「夢」と掲げたNHK連続テレビ小説の主演を射止め、「風、薫る」の主人公の1人、大家直美を好演中だ。昨年は初写真集発売やTBS系日曜劇場「御上先生」出演も果たすなど、勢いに乗る世代の注目株に“朝ドラ”への思いや、小学6年で飛び込んだ芸能キャリアについて聞いた。【松尾幸之介】
★早く続きが知りたくて
「早く続きが知りたくて」。絶賛撮影中の「風、薫る」。主人公を担う上でのモチベーションは、自身もまだ知らない物語の先の台本をもらう瞬間だという。「新しい週の台本をもらう時が楽しみで。現場では前室に主人公2人の席を作ってくださっているんですけど、ひな祭りの時はおひなさまの飾りが置かれていたり、そうしたところに『風、薫る』チームのみなさんの優しさも感じられて、日々救われています」。
現場での原動力は自分で握って持参する“特製おにぎり”。スタジオ撮影時は、おにぎりとジャーに入れたスープを持ち込むといい「それを食べて一息つくということを続けています。枝豆と塩昆布の2種類を1週間ごとに変えていて、あとはサケと大葉とごまを混ぜたものとかが好きで。ジャーにはおみそ汁だったり、いろんな野菜を入れて持って行ったりしていますね」と笑顔で明かした。
★所属先輩の髙石あかりと
今作はダブル主人公で、先にバディとなる見上愛(25)の出演が発表され、上坂はその後にオーディションで2410人の中から抜てきされた。前作「ばけばけ」主人公の髙石あかりは所属するエイベックス・マネジメント・エージェンシーの先輩で、共に事務所主催の中学3年までが対象のコンテスト出身。マネジャーも同じで、吉報は髙石とマネジャーからサプライズで伝えられた。飲食店内だったため「あんまり『わー!』とはできなかったんですけど(笑い)、あかりさんも一緒に泣いてくれて。こんな夢のようなことがあっていいのかと、忘れられない幸せな時間でした」。
★現場の一番のアイドル
小学生時代は児童会長、中学生時代は生徒会長も経験するなど、穏やかな雰囲気の中にも凜(りん)とした意思が垣間見える。昨年放送の学園ドラマ「御上先生」のイベントでは出演者が選ぶ「現場の一番のアイドルは」といったお題で、大勢の生徒役の中から上坂が選ばれていた。「彼女の輝きはすごい」と語る関係者もおり、今回組む見上も「透明感があって、空気清浄器みたいな人です。私はマイナスイオンを浴びています」と表現していた。
これまでも有望俳優が起用されてきたJR東日本のスキー旅行広告「JR SKISKI」をはじめ、企業広告などへのモデル起用も多い。どこか目を引く存在感がある。それが最大の魅力なのかもしれない。本人に尋ねると「もちろん選んでいただけることは素直にうれしいです」と少し照れ笑いを浮かべ「でも私はそんなみなさんに支えられて撮影などもできているので…。作品や役に対してのお芝居はしっかり考えて周囲とコミュニケーションをとることを心がけています」と話した。
「風、薫る」で演じる大家直美は生後間もなく親に捨てられ、教会で育った少女。「人間味あふれていて、プライドを捨ててやってやるみたいな。すごく強さを持ったかっこいい女性です」。自身は3姉妹の末っ子。2歳上の姉が看護学校生だった偶然もあり「勉強している姿や実習に行った話とかも聞いていたので、ご縁だなと思っています。シーツの敷き方や包帯の巻き方を教えてもらったりもしました」。
今年1月。晴れ着を着て、新年の抱負には「丁寧に、大胆に」と掲げた。立場と経験が人を変える。吸収も早く、最近は現場で「顔つきが変わった」と言われるといい、監督や所作指導スタッフには「(演技時に)あまりにも肝が据わりすぎて、貫禄が出過ぎている」と“セーブ”を求められることもあるという。未完の大器を思わせるエピソードには事欠かない。
“選ばれる子”として順風満帆に見える20歳だが、「Seventeen」のオーディションは4度目、連続テレビ小説は3度目の挑戦でつかんだ。慢心はない。「うまくいかないこともありましたし、今、ひとつ大きな夢がかなった上でも、あらためて周囲の方や環境にすごく恵まれているなと感じています」。
今後の明確な夢は定めていない。「今はお仕事が大好きなので。年齢を重ねていく中で可能性を広げられるように、腹を決めないでいろんなことに挑戦していきたいなと思っています」。キャリアの続きが、とても気になる。時に大胆に、まずは「風、薫る」を走りきり、さらなる高みを目指していく。
▼「風、薫る」のもう1人の主人公、見上愛
(上坂について)本人は意識していないかもしれないですが、バランス感覚に優れた人だなと思っています。ものすごくしっかりしている部分もあって、積極的に監督に相談に行ったり、自分の考えていることを言語化しながらお話ししているところもあります。一方で、すごく抜けているところもあってかわいくて、そうしたバランスが他の人にはない魅力です。
▼「風、薫る」
明治期に当時あまり知られていなかった看護の世界に飛び込み、のちに帝国大学医科大学第一医院でトレインドナース(正規に訓練された看護師)となった実在の人物、大関和さんと鈴木雅さんをモチーフとした少し型破りなナースの冒険物語。原案は田中ひかる氏の著書「明治のナイチンゲール 大関和物語」。ドラマの主人公は一ノ瀬りんと大家直美の2人で、その半生を描く。
◆上坂樹里(こうさか・じゅり)
2005年(平17)7月14日生まれ、神奈川県出身。17年エンタメコンテスト「キラチャレ2017」でモデル部門の審査員特別賞受賞。19~21年「南青山少女隊」。19年から雑誌「Seventeen」専属モデル。21年配信ドラマ「そらぞら」で女優デビュー。23年NHKドラマ「生理のおじさんとその娘」ヒロイン、24年フジテレビ系ドラマ「ビリオン×スクール」、25年NHKドラマ「いつか、無重力の宙で」など。休日は読書やお笑いライブ、映画鑑賞などでリフレッシュ。160センチ。







