日本民間放送連盟(遠藤龍之介会長)は25日、「人権に関する基本姿勢」についての決定を、21日開催の理事会で行ったことを公式ホームページなどで発表した。

民放連各社が人権尊重の重要性を改めて認識し、今後の報道や事業活動を通じてあらゆる人々の人権が尊重される社会を目指すことを誓うものだといい、今後も会員社の役員を対象に人権をテーマとした講演や犬種などを行って、啓発に努めていくという。

発表全文は次の通り。

 

今日、社会全体における人権意識の高まりを踏まえて、あらゆる企業に対して、事業活動全般における人権の尊重が求められるようになった。国連においては、2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されている。

民放連は、1951年に制定した「放送基準」の前文で基本的人権の尊重を謳い、民間放送各社は、この基準を踏まえて、番組内容の根底に人権尊重の理念を据えて公共的使命を果たしてきた。報道活動では公共性と公益性を重んじ、事実と真実を伝えることを目指して「報道指針」を策定し、あらゆる人々の基本的人権の実現に寄与するための道標としてきた。

しかしながら、今年、大手芸能事務所元代表者による人権侵害行為に対して、民放各社の意識が希薄であったことが明確となった。

民放連会員社の役職員はこのことを反省し、今後とも社会から信頼されるメディアで在り続けるために、人権尊重の重要性を改めて認識し、以下の指針に沿って事業活動を展開していくことを誓う。民間放送にかかわるすべての取引先にもこの基本姿勢への賛同を求める。

1.人権の尊重

民間放送は、人種・民族、性、職業、境遇、信条をはじめ、性的指向・性自認や障害の有無などを理由としたあらゆる差別を認めない。特に、社会的弱者やマイノリティの人々、未成年の人権に配慮し、尊重する。

個人としての尊厳や人格を不当に傷つけるあらゆるハラスメントやいじめ、長時間労働や健康を害する働き方を強いることを認めない。

2.人権侵害の防止

民間放送は、自らの事業活動において人権侵害を引き起こさないことに最大限の価値を置く。幅広いステークホルダーとの建設的な対話を通して、すべての取引先において、民間放送の事業活動が人権侵害を助長しないように努める。また、放送にかかわるすべての人々の人権を尊重するため、役職員の啓発を行う。

3.メディアとしての社会的責任

民間放送は、人々の生活に寄り添いながら、社会とともに歩みを進めてきた存在である。このことを自覚し、表現の自由を守りつつ、人々の知る権利に応える報道やさまざまな事業活動を通じて、すべての人々の人権が尊重される社会の実現を目指す。