吉沢亮(31)の主演映画「国宝」(李相日監督)が、6月6日の初日から24日までの公開172日間で興行収入(興収)173億7739万4500円、動員1231万1553人を記録。03年「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(本広克行監督)が同年に記録した173億5000万円の実写日本映画の興収記録を、22年ぶりに塗り替えた。配給の東宝と作品の公式SNSが25日、発表した

「国宝」が22年間、固く閉ざされていた日本映画界の“開かずの扉”を開いた。「踊る大捜査線 THE MOVIE2-」が03年7月19日の封切りからの公開33日間で興収110億9131万630円を記録し、同110億円の83年「南極物語」(蔵原惟繕監督)を抜き、20年ぶりに新記録を樹立したのは同8月20日。その日から数えて22年97日、8133日での新記録樹立。「踊る大捜査線」シリーズの最新作「踊る大捜査線N.E.W.(エヌ・イー・ダブリュー)」(26年秋公開)の撮影が10月から始まり、主演の織田裕二(57)が12年「-THE FINAL 新たなる希望」以来13年ぶりに青島俊作を演じる最中での、因縁めいた快挙達成となった。

「国宝」は作家・吉田修一氏(57)が17年に朝日新聞で連載し、18年に朝日新聞出版から上下巻で出版した同名小説の映画化作品。同氏が3年間、歌舞伎の黒衣をまとい、楽屋に入った経験を元に執筆した。同氏の小説を実写化した、10年「悪人」の李相日監督(51)が、同作の公開時に歌舞伎の女形を中心とした映画を構想した経緯もあり、吉田氏から「国宝」の連載開始時に話を聞き、実際に作品を読み映画化に着手。吉沢を主演に起用するありきで企画を立ち上げた。

吉沢は任〓(人ベンに峡の旧字体のツクリ)(にんきょう)の一門に生まれながらも抗争で父を亡くし、上方歌舞伎の名門の当主に引き取られ、芸の道に人生をささげた主人公・立花喜久雄の50年を、少年期を演じた黒川想矢(15)と演じ上げた。喜久雄を引き取った花井半二郎を渡辺謙(66)半二郎の実の息子で、生まれながらに将来を約束された御曹司・大垣俊介を、横浜流星(29)と少年期を越山敬達(16)が演じた。

吉沢と横浜は、我妻千五郎役で映画にも出演した歌舞伎俳優の中村鴈治郎(66)から歌舞伎の指導を受け、基本のすり足からはじめ「鷺娘」「二人道成寺」「曽根崎心中」といった演目を1年半にわたって稽古。本物の歌舞伎俳優を吹き替えで起用するのではなく、歌舞伎をやったことがない俳優の2人が、見事に歌舞伎を演じ切ったことが話題を呼んだ。2人の少年期を演じた黒川と越山も半年間、稽古を積み、一緒に合宿まで行っている。

「国宝」は、第98回米アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品に決定。さらに、第96回アカデミー賞長編アニメーション賞に輝いた宮﨑駿監督作品「君たちはどう生きるか」をはじめ、数多くの作品を配給してきた映画配給会社「GKIDS」が、新作の日本実写映画初となる北米配給を手がけることも決定。公開は来年2026年初頭を予定。吉沢と李監督は、米ハリウッドとニューヨークで行われた「国宝」の特別上映会に登壇した。

◆「国宝」興行成績の推移 6月6日の封切りから同15日までの10日間で、興収11億9000万円、動員85万人、同29日までの24日間で興収32億6795万7800円、動員231万8016人を記録。7月6日までの公開31日間で興収44億8322万2200円、動員319万145人を記録。東宝配給作品としては、興収を発表している00年以降、史上初めて4週連続で金土日前週比を上回り、興収135億円を突破した18年の米映画「ボヘミアン・ラプソディ」と並んだ。8月17日までの公開73日間で、興収105億3903万3400円、動員747万3454人を記録し「踊る大捜査線-」以来、22年ぶりに興収100億円の大台を突破。同21日までの公開77日間で興収110億1633万2800円を記録。「南極物語」を抜き、邦画実写で歴代興収2位となった。