1999年(平11)の結成から約27年。日本中から愛されたアイドルグループ嵐が、今月31日で活動を終了する。日刊スポーツでは、5人とゆかりのある著名人らが嵐への思いを語るインタビュー企画をグループ活動最後の日まで7日間連続で掲載します。第3回は、柔道女子52キロ級で21年東京五輪金メダルの阿部詩(25=パーク24)の登場です。「ここで頑張れば嵐に会える」。中学時代、そんな思いを抱きながらハードでくじけそうな練習を乗り越え、夢をかなえた。感謝と労いの気持ちを語った。【取材・構成=飯岡大暉、藤塚大輔】

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中学生の頃のこと。詩は心が折れそうな時こそ、妄想を膨らませた。「ここで頑張れば、絶対に嵐に会えるんだ」。毎日の朝練習の走り込みはハードだった。逃げ出したくなる時は、嵐の顔を思い浮かべた。

「地獄と思うほどのえげつない練習でした。でも『ここを乗り切れば、嵐に会える』と。もちろん、そんなことはないんです。当時は私も中学生。テレビの中の方々と分かっているけど、『絶対に会える』と信じて、辛い日々を乗り越えていました」

夢中になったきっかけは、07年放送のドラマ「山田太郎ものがたり」(TBS系)。主演を務めた二宮和也を見て、ファンになった。それからはライブのDVDが発売されるたびに、欠かさず購入した。「中高生の頃の唯一の楽しみは、新しいDVDを見ることでした。数えきれないくらい、繰り返し見ました」とほほ笑む。

嵐は心の支えだった。だから苦しい練習も乗り切れた。汗を流した日々は、21年東京五輪で結実する。嵐の「カイト」がNHKの中継の主題歌を飾る中、自国舞台で金メダルを獲得。その後、テレビ番組などで共演を果たした。「人生、何があるか分からないなって。1人で感極まっていました」。中学生の頃の妄想は、現実となった。

5人は優しかった。収録前後には「最近の調子はどう?」「試合は近いの?」と声をかけてくれた。「私だけでなく、皆さんに声をかけられていて、素晴らしい方だと感じました」と感激した。

今は詩自身も、ファンから声をかけられるようになった。応援されること。その誇りと使命を感じている。

「ありがたいことに私にもファンがいて、『会いたい』と思ってもらえるように、なるべく応えたいと思っています。会えるだけで元気をもらえる人になる。それって、素晴らしいことじゃないですか。だからこそ、自分の生き方には責任を持たないといけないと思いました。それを嵐さんから学びました」

2年後には、ロサンゼルス五輪を控える。2大会ぶりの金メダルへ。嵐への感謝とともに、決意を胸に突き進む。

「5人のすてきな姿を見て、ここまで頑張ってこれたので、ありがとうとお疲れ様でしたという気持ちでいっぱいです。ロスで金メダルを取って、皆さんの目に触れる機会があればうれしいです」

◆阿部詩(あべ・うた)2000年(平12)7月14日、神戸市生まれ。5歳で競技開始。兵庫・夙川学院高-日体大。18、19、22、23、25年世界選手権優勝。五輪は21年東京金、24年パリ2回戦。兄一二三は五輪2連覇王者。座右の銘は「努力なくして成功なし」。158センチ。