女優の山村紅葉(65)が11日、都内で小説家デビュー作「祇園の秘密 血のすり替え」(17日発売、双葉社刊)発売記念取材会に登壇した。
母は“ミステリーの女王”と称された山村美紗氏。“サスペンスの女王”として知られる山村が、母が筆を置いた65歳という節目の年齢で小説家デビューを飾る。記念すべき1作目は、京都の花街と歌舞伎界という2つの伝統文化に「家」「血」「才能」を巡る人間ドラマ。「一気に書き下ろしてかなりの分量を書くのは自信がなかったんですけど、書いているうちに楽しくなって、母が降りてきてくれているような気がして。店頭に並ぶのが楽しみです」と発売日を控えた心境を語った。
5年ほど前まで月1回のエッセーを週刊誌で連載しており、執筆することの楽しさを覚えたという。文章を書くことが次第に日常の一部になり、小説を書くことも目標の1つとなった。今作のテーマは映画「国宝」に影響されたという。小さい頃からなじみがあった歌舞伎や、京都の街の舞妓(まいこ)や芸子の文化を融合。「華やかな世界だけど葛藤や苦しみがあると感じていたので、それを融合させてみたら良いんじゃないかなと」と、去年の10月頃から本格的に製作に取りかかり、元芸子に話を聞いた他、置き屋を取材した。「『母が亡くなった65歳で出版されないと意味が無い』と編集者の方がおっしゃって(笑い)」とハッパを掛けらたこともあり、昨冬に一気に書き下ろした。
もしも母・美紗さんが読んだらどんな感想をもらえるかと問われると、「まず、けなすことから始まると思う」と笑った。幼少期は学校の宿題の読書感想文がコンクールで入賞するなどしていたが、母の寸評は常に厳しく、受賞したことがばれないように、もらった表彰状など隠していたという。「『こんな恥ずかしいもの出さないでよ、見せてくれたら直したのに』って言われそう」と毒舌な母の顔を思い浮かべた。
美紗さんも40歳で小説家デビューし、自身も65歳での作家デビュー。「母は65歳になってすぐ亡くなった。生きているだけで丸もうけだからもう怒る母もいないから取りあえず書いてみようかと」と思い切って新境地に飛び込んだ。「母の口癖が『今からでも遅くない』だったので。この年で小説を書くのかと思いましたが、母の言葉を思い出して書きました」と母の存在に感謝した。



