名古屋鉄道グループの名鉄百貨店(名古屋市)は27日、運営する老舗劇場「名鉄ホール」の営業を3月末に終了すると発表した。照明や音響、舞台装置などの老朽化が進んだことが理由としている。1957年7月の開館から約58年の歴史に幕を下ろす。

 名鉄ホールは、名古屋駅前に位置する名鉄百貨店本店10階にある劇場。客席数は約920席と大型ホールとして知られた。こけら落とし公演は天津乙女らの宝塚歌劇星組だった。

 ミュージカルや演劇、コンサート、映画試写会など幅広いイベントに使われていた。「御園座」「中日劇場」と並ぶ名古屋三大劇場の一つ。日本橋三越本店(東京)の「三越劇場」とともに百貨店内の劇場としても有名だった。

 名鉄グループは、リニア中央新幹線の東京・品川-名古屋の開業が予定される2027年までに、名古屋駅周辺の再開発を計画。名鉄百貨店のビルの建て替えも検討されている。

 名鉄ホールは07年からは貸しホールとして運営、08年には主催公演から撤退。14年の貸しホール稼働率は約6割で、観客数は約14万人と近年の興行成績は順調だった。

 ただ、営業を継続するために必要な設備改修などに2億円超の費用がかかると見込まれ、投資回収が困難と判断した。

 一般向け興行は終えるが、株主総会や入社式など名鉄グループ企業の自社利用は当面続ける。