日本テレビ系報道番組「NEWS

 ZERO」の男性プロデューサーが、同番組キャスターの山岸舞彩(やまぎし・まい)アナウンサー(26)や、女性スタッフ数人にセクシュアルハラスメント(セクハラ)とも受け取られる行為をした疑いで、更迭されることが5月31日、分かった。今日6月1日付で担当を外れ、今後あらためて処分を下されるとみられる。

 社会問題を斬るはずの報道番組で思わぬ問題が発生した。2006年(平18)10月から始まった日本テレビの看板報道番組「NEWS

 ZERO」でキャスターを務める山岸や女性スタッフ数人が、同番組の男性プロデューサーからセクハラとも受け取られる行為を受けていた。

 複数の関係者の話を総合すると、この男性プロデューサーは山岸をしつこく、2人だけの飲み会に誘ったり、メークルーム、楽屋にも付いていくなど、周囲にも目に余る行動を取り続けていたという。さらに山岸だけでなく、他の女性スタッフにも同じような行為を繰り返し、担当を外れることとなった。今後、同局が正式な処分を下すとみられる。

 山岸はキャスターとして、今最も勢いのあるフリーアナウンサーだ。06年、東レ水着キャンペーンガールに選出された後、転身。09年4月から2年間、NHKBS「Jリーグタイム」、11年4月からはNHK「サタデースポーツ」「サンデースポーツ」のキャスターとして活躍し、12年ロンドン五輪では局内アナウンサーを差し置いて現地キャスターを任された。NHKでは珍しく、ミニスカートで美脚を披露し、出演したことも人気急上昇の要因となった。

 そして今年3月、同番組を卒業し、スポーツの枠を飛び越え「ZERO」のキャスターに抜てきされた。06年の立ち上げから番組の陣頭指揮を執ってきた男性プロデューサーは、3月25日の新キャスター会見で「(山岸の)起用理由はミニスカートではありません。相手の懐に入るインタビューのスキルがある。外面より内面で決めました」と話し、山岸のトレードマークだったミニスカートを封印する方針を発表していた。

 男性プロデューサーは、日刊スポーツの取材に「その件は、総合広報部に聞いてください」と話し、同局総合広報部は「当社では、一般社員に関する個別のご質問にはお答えしておりません」と書面で回答。否定はしなかった。

 ◆山岸舞彩(やまぎし・まい)1987年(昭62)2月9日、東京都生まれ。日本女子大入学後、モデルデビュー。06年に東レ水着キャンペーンガールに選出。07~09年までテレビ朝日系「やじうまプラス」出演。11年にはNHKのスポーツキャスターも務め、昨年はNHKロンドン五輪の現地キャスターに。168センチ。血液型O。

 ◆「NEWS

 ZERO」(月~木曜午後10時54分、金曜午後11時58分)

 日本テレビで52年間続いた夜の報道番組「きょうの出来事」に代わり、06年10月から始まった。開始当初から元財務官僚の村尾信尚氏がメーンキャスターを務める。女性キャスターは市川海老蔵の妻となった小林麻央や日本テレビ鈴江奈々アナらが務めてきた。硬派なニュースを扱う一方で、芸能や文化などの報道にも力を入れ、人気報道番組に成長してきた。

 ◆セクシュアルハラスメント(セクハラ)

 男女雇用機会均等法では「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、または当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」と定義されている。

 厚生労働省のホームページによると、「性的な言動」の例には、性的な事実関係を聞くこと、性的な内容のうわさの流布、性的な冗談、食事やデートへの執拗(しつよう)な誘い、性的な関係の強要、必要なく体に接触すること、わいせつ図画の掲示などがある。事業主や上司、同僚だけでなく、取引先、顧客、患者、学校の生徒などもセクハラの行為者になりうるという。

 職場におけるセクハラには「対価型」と「環境型」がある。前者は、性的な言動に対し、拒否や抵抗した労働者が降格など不利益を受けるパターン。後者は、性的な言動で労働者の就業環境が悪化し、仕事が手に付かなくなるなどの支障が生じるパターンだ。

 同法では、事業主に対し、セクハラがないよう必要な措置を講じることを義務付けている。同ホームページでは「職場におけるセクシュアルハラスメントは、働く人の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるとともに、働く人が能力を十分に発揮することへの妨げにもなる」と指摘している。