アントニオ猪木参院議員(73)が13日夜、北朝鮮への訪問を終えて帰国し、東京・羽田空港で会見を開いた。

 猪木氏は10日に朝鮮労働党本部で、同党国際部門を統括する李洙■(リ・スヨン)副委員長と約1時間半会談した。その中で、9日に5回目の核実験を行ったことについて、李氏から「核実験は日本に向けてのものではなく、米国に対して我々の国威を示そうとしたもの」と説明されたことを明らかにした。

 猪木氏は8日に平壌入りし、北朝鮮の建国記念日の9日に行われたレセプションに参加。そこで李氏に加え、北朝鮮ナンバー2の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長らと対面。12日には、戦後に北朝鮮に渡航した日本人妻3人と面会したという。

 今回の訪朝については、4月の平壌マラソンのスターター役を、国会の会期中のため断念したことのおわびと、「人の流れを絶やさない」という基本を貫く意図があったと説明した。

 レセプションでは金正恩党委員長から「この時期に、よくいらっしゃった。ありがとうございます」とのメッセージがあったという。金正恩氏は現在、酒は飲まないという。

 取材陣からは、北朝鮮の核実験や弾道ミサイルの件について質問が集中した。猪木氏は「北朝鮮に抗議の意志を示したか?」と聞かれ「抗議というより『この時期になぜ? 核実験を行った目的は何なのか?』と単刀直入に質問した。『(核実験は)日本に向けたことじゃない。安心して下さい』と言っている。通常の流れの実験だとも説明があった」と答えた。

 拉致問題について聞かれると「制裁が最優先なので、できるだけ触れないようにした。ただし、同僚の議員が深く切り込んだ話をした」と、同行した日本維新の会の松浪健太議員が話をしたことを明かした。そして「今後、進展する方法をどうすればいいかと。今の状況は制裁。(北朝鮮側では)日本に問題があるのではないか、という話だったと思います」と語った。

 今回は14年8月以来2年ぶり31度目の訪朝で、スポーツ交流が主な目的だった。この日は、会議室に入るなり、いつも通り「元気ですか~!!」と絶叫したものの「あまり元気ないな」と苦笑い。帰国後の入管の段階で、別室に連れて行かれたといい「出てくる時にも。小ざかしいというか、嫌がらせというか。あの人たち(職員)に罪はないが、腹が立つ。現役だったら、ぶっ飛ばしてやる」と怒りを漏らす一幕もあった。

※■は土ヘンに庸