公式戦29連勝の新記録を樹立した将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(14)が11日、大阪市の関西将棋会館で指された加古川青流戦トーナメント3回戦で都成竜馬四段(27)を破り、ベスト8に進出した。2日にプロ初黒星を喫したが、6日の対局には勝ち、初黒星から2連勝。来週19日に15歳の誕生日を迎えるが、14歳最後の対局に勝利し、公式戦通算31勝目を挙げた。

 藤井がすさまじい終盤力を見せつけ、逆転勝利した。形勢不利に見える局面でも慌てない。最終盤にペースを握ると、鋭い攻めで相手を投了に追い込んだ。都成とは3度目の対戦となったが、これで3戦3勝。関係者が「14歳とは思えない…」と言うほど落ち着いた指し回しを見せた。

 「中盤は自信のない戦いになったが、最後は何とか(勝てて)幸いでした」。2日にプロ初黒星を喫し、連勝記録が「29」で止まったが、6日の名人戦順位戦C級2組で中田功七段を破り、白星で再スタートを切っていた。再度の連勝スタートに藤井は「敗戦の後の2連勝ということで…」と言葉は少ないが、価値ある勝利を喜んだ。

 来週19日には15歳の誕生日を迎える。「公式戦で14歳最後の一局ということで内容は精査しないと分かりませんが、結果は勝てて良かった」と話した。

 昨年10月、史上最年少の14歳2カ月でプロデビュー。それまで現役最高齢の加藤一二三(ひふみ)九段が持っていた14歳7カ月の最年少記録を62年ぶりに塗り替えた。4月4日にはデビュー後11連勝を達成し、プロ公式戦の新記録を樹立。6月26日には神谷広志八段を抜き、新記録の29連勝を達成した。プロデビュー後は記録ずくめの戦いだった。14歳は激動の1年だった。

 「1年前は三段リーグ(プロ養成機関)の真っ最中だった。周りの環境を含めていろいろと変わった。自分でも成長できた1年かなと思います。次の1年で昨年以上に強くなりたいです」

 若手棋士の登竜門となる加古川青流戦のベスト8入りに「まだまだ優勝は遠いですが、強敵が続くので一局一局を大事に指していきたいです」。15歳になっても進化は止まらない。【松浦隆司】

 ◆加古川青流戦 日本将棋連盟所属の棋士四段、プロ養成機関「奨励会」三段成績上位者と、女流棋士2人、アマチュア強豪3人によるトーナメント戦。若手の登竜門として11年度に創設。第7期となる今期は40人が参加。主催は兵庫県加古川市など。決勝3番勝負は、例年10月下旬に開催。