トランプ米大統領(71)が5日、ついに“日本初上陸”した。到着先の米軍横田基地で大歓迎された後は、安倍晋三首相、自らご指名したプロゴルファー松山英樹と、趣味のゴルフを9ホール。夜は大好きな肉で首相におもてなしされ、ご機嫌な初日を過ごした。一方、緊迫する北朝鮮情勢を念頭に「米国の決意を過小評価すべきではない。我々は常に、常に勝つ」と激しくけん制。神経をとがらせていることをにじませた。都内ではトランプ氏の行動に合わせて、史上最大級の厳戒規制が敷かれた。

 トランプ氏とメラニア夫人は午前10時38分、大統領専用機エアフォースワンで、米軍横田基地(東京都福生市)に到着した。米国では支持率が4割を割り込んでいるが、この日は出迎えた米軍や日本の自衛隊員ら約2000人から拍手と声援を受け、トランプ氏は上機嫌でサムアップ。「日本は重要な同盟国だ。課題は多いが、ともに取り組もう」と訴えた。

 普段はクールな夫人も、笑顔を振りまいた。会場は生バンドの演奏が行われ、「USA」コールが鳴り響き、ライブイベントのよう。約1時間のセレモニーを終えたトランプ氏は、大統領専用ヘリ「マリーンワン」に乗り、20年東京五輪のゴルフ会場でもある「霞ケ関カンツリー倶楽部」へ。待っていたのは、盟友シンゾー・安倍首相だった。

 2人は、20年の五輪の舞台となるグリーンで、トランプ氏がご指名した松山と、約2時間、9ホールを回った。2月のフロリダで約5時間、27ホール回ったような「延長戦」はなかったが、トランプ氏は首相のナイスショットにグータッチを交わし、2人はうち解けた雰囲気をアピールした。

 トランプ氏はハンディ3、ベストスコアは66の上級者。80台半ばとされる首相との対決の結果は不明だが、それぞれのツイッターには、トランプ氏の豪快なドライバーショットの動画を仲良く投稿。松山は、両首脳のプレーの際はじっと見守っていたという。

 ゴルフは来日中のメインイベントの1つだが、ラウンド会談の目的もあった。トランプ氏は横田基地の演説で、北朝鮮や金正恩・朝鮮労働党委員長を念頭に、「いかなる独裁者も、米国の決意を過小評価すべきではない。我々は1歩も譲らない。常に、常に勝つ」とけん制。「皆さんは暴君や独裁者に対する最大の希望だ」と呼び掛けている。

 首相もゴルフ後の取材に、「難しい話も織り交ぜながら、突っ込んだ話ができた」と、ゴルフ会談の“意義”を強調。トランプ氏の好物、ハンバーガーを食べながらのビジネスランチの機会も加え、日米両国の懸案である北朝鮮問題も、意見交換したとみられる。

 ゴルフを終えたトランプ氏は、滞在するホテルまでお迎えに出向いた首相夫妻を、大統領専用車「ビースト」に乗せ、ミシュラン1つ星を獲得した東京・銀座の高級鉄板料理店「銀座うかい亭」へ。夜のコースが1人約2万円~の同店で、北海道のホタテガイと白トリュフのサラダや静岡県の伊勢エビのソテー、但馬牛のステーキを堪能した。

 長女イバンカさんに続き、どこまでも「トランプ家ファースト」な、首相のおもてなし。トランプ氏もどこまでも満足そうだった。【中山知子】