物価高などによる経済的事情で、子どもにスポーツを続けさせられない家庭が増えている。支援団体は5日までに、食事や教育に比べて「スポーツはぜいたく」と見られやすく、相談しづらい事情があると指摘。費用や用具を贈る活動も始まっているが「必要とする人が後を絶たず、追い付かない」とし、体験格差が広がる恐れがあると訴える。
「下の子には、スポーツをさせてあげられないかもしれない」。小中高生の3人を育てる福岡市の女性(45)はうつむく。甲子園を目指す長男の野球部の部費は毎月5000円。遠征費と合わせ年間10万円を超え、用具代もかかる。中学でテニスに打ち込む長女も同じだ。近頃、次男から野球をしたいと伝えられた。パートとして働くが、生活は厳しい。女性は「ぜいたくという意見も理解はできる。でも、好きなことをさせてあげたい」と声を詰まらせた。女性の家庭を含め、全国の困窮世帯を支援する認定NPO法人「キッズドア」(東京)には、同様の悩みが多数寄せられている。
サッカーを続けるのが難しい子らに奨励金や用具などを贈っている認定NPO法人「ラブフットボール・ジャパン」(神奈川)は21年、全国の109人を支援した。23年は319人と3倍近くになり、25年は44都道府県の449人に上った。支援先へのアンケートでは、子どものサッカーの年間費用は、クラブチームに比べ安価な部活でも、半数近くが10万円以上と回答。加藤遼也代表理事(42)は「居場所をなくす子の喪失感は大きく、相談相手を失って孤立することもある」と危惧する。プロとの交流会を開き、精神的なサポートにも注力している。用具の寄贈の動きは野球やバスケットボールなどでも広がっている。
東京都立大の阿部彩教授(貧困・格差論)は、22年に実施した調査で、サッカーボールやグラブなど外遊び用の遊具を子どもの生活必需品と回答した人は3割余りにとどまったと説明。国連総会で採択された「子どもの権利条約」に「休み、遊ぶ権利」が明記されているとし「子どもの意見を聞き、やりたいと思うことができる環境を整えていくべきだ」としている。(共同)

