★先月28日、元首相・鳩山由紀夫が香港大学ガバナンス政策学院開講に際して行った基調講演「世界秩序の変動下における日中関係の展望」を香港メディア・香港01が報じ、国内にも報じられている。講演の冒頭「多くの人は、第2次世界大戦後の世界秩序、それに裏打ちされた平和と繁栄が永続するものと信じた。中国が急速に国力を増すと米中間でいわゆる『トゥキディデスの罠』(米国の学者グレアム・アリソンの定義で新興国が既存の大国の地域的ないし国際的な覇権を脅かそうとすると、必然的に戦争に陥ってしまう傾向)が働くようになり、米中対立が激化し始めた。ロシアによるウクライナ侵攻もあり、西側では『権威主義国家陣営が既存の世界秩序に挑戦し、民主主義国家陣営がそれを守ろうとしている』と語られるようになった。私に言わせれば、この単純な二分法は真実から程遠い」。
★米国についても「トランプは『私に国際法は必要ない』とうそぶく。米国の持つ軍事的、経済的な世界最大のパワーが破壊的な方向に使われたら、世界秩序に与える打撃は計り知れない。トランプの任期はまだ2年半以上ある。今後も彼の政治的立場が悪化し続ければ、この大統領は自身を偶像化するためにもっとひどいことをしかねない。さらに悪いことに、この『身勝手な米国』は『米国の分断』と『民主主義の変質』を背景にしている。そのためトランプの後も米国は、程度の差はあっても世界秩序を壊し続ける可能性が高い」。
★鳩山はカナダの首相マーク・カーニーの中堅国連合の提唱に「彼の戦略眼は敬服に値する。彼は中堅国という言葉を強調したが、彼のしたたかなところはカナダがG7という西側クラブの一員でありながら、価値観を超えた連携をひそかに進めようとしていることだ」とした。「想像してみよう。日中韓がASEAN諸国と共に緊急会議を開き、米国とイスラエルに対し、イラン攻撃の即時停止を求める共同声明を採択することを。米国もイスラエルも耳を貸さないかもしれない。だが、両国に大きな圧力となり、両国が事態をエスカレートさせにくくなることは確かである。一国ではできないこと、効果がないことも声を合わせれば、できるようになる」。この提言が日本以外の国に刺さることが、今の日本外交の弱点だ。(K)※敬称略


