「安倍政権での原発ゼロは難しいが、近い将来必ず、国民の賛同を得て実現する」。小泉純一郎元首相(76)は10日、細川護熙元首相とともに顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟のメンバーと国会内で会見し、原発の即時撤廃などを盛り込んだ「原発ゼロ法案」の骨子を発表した。22日開会の通常国会に議員立法での提出を目指す。与野党に協力を呼び掛けるとともに、ポスト安倍世代にも、エネルギー政策転換への“決断”を促した。

 小泉氏は、「自民党は選挙公約にできるだけ原発への依存度を減らすと書いたのに、経産省は原発が(国の)基幹電源と言う。金がかかっても原発を維持したい勢力にじゅうりんされているのが、悔しくてたまらない」と主張。「次(9月)の自民党総裁選は分からないが、将来は(原発ゼロの首相が)出てくるだろう」と自信を見せた。

 立憲民主党も同法案の提出を目指す。小泉氏は「どの政党でも全力で取り組むなら協力する」と述べつつ、「政権を取るにはどんな政策が必要か、考えれば分かるはずだ」と、野党にも注文。自民党に対しても「立憲が法案を出して政府をただせば、うかうかできない。国会で議論が始まれば、国民は目覚める。自民党が政権を担当できたのは、国民の声を聴いてきたからだ」と挑発した。次男の小泉進次郎筆頭副幹事長(36)も昨年の衆院選で、はからずも「自民党は国民の思いを受け止める国民政党であるべき」と述べている。

 小泉氏は「原発ゼロへの国民の熱気が、エネルギーだ」。かつて党の反対に遭いながら、有権者を巻き込んで持論の郵政民営化を実現した。「政治は国民の熱気で変わる。これから国民運動を展開したい」と、意欲を示していた。【中山知子】