北朝鮮の三池淵(サムジヨン)管弦楽団が11日夜、韓国の首都ソウルの国立劇場で公演を行った。会場近くでは、公演をはじめとした北朝鮮の“ほほえみ外交”や、北朝鮮との対話路線を強調する文在寅大統領(65)に反対する市民、活動家がデモを行い、「文在寅はなぜ、北朝鮮の共和国旗を持った人間を入国させたんだ!!」などとシュプレヒコールを挙げた。

 金日成、金正日、金正恩3代の北朝鮮最高指導者の顔写真にバツ印を付けた旗を振る活動家もいたほか、「金正恩を暗殺したら懸賞金1億ドル」と書かれたちらしを配布するなど、デモは時間が経過するごとに過激さを増した。デモが行われた十字路脇の歩道には、通行できないほどの反対派の韓国民が集結。周辺の歩道は市民の歩行が制限され、国立劇場に上る坂道には、百人単位に分かれた警察官のチーム複数が配置され、取材申請が認められた報道機関の記者、関係者しか通行を認められなかった。

 8日に平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)競技開催地の江陵アートセンターで行われた第1回の公演では、デモ隊が北朝鮮国旗を燃やすなど騒動になったが、2回目の公演が行われたのは首都・ソウルだけに、デモの規模は大きく、何が起きても不思議ではない危険な雰囲気が漂っている。【村上幸将】