訪米中の麻生太郎財務相は19日(日本時間20日)、福田淳一事務次官のセクハラ問題でテレビ朝日から正式に抗議を受けたことについて「しっかり受け止めないといけない」と述べた。「(被害女性が)名乗り出ており、きちんとした話を(委託した弁護士が)聞かせていただくことになる」とも主張した。

 一方で、抗議文に目を通したか問われた際「一枚紙で書いていた。もう少し大きな字で書いてもらった方が見やすいなと思った」と、不満めいた発言を口にするひと幕もあった。

 自身の任命責任については「進退は考えていない」と辞任を否定。「報道内容が事実かどうか定かではない。(福田氏)本人が『ない』と言う以上、調査しないと何ともいえない」と述べた。福田氏について「飛び抜けて優秀だったとほめるつもりはないが、飛び抜けて悪かったわけでもない。この件で本人が全否定されるものではない」と、かばうような姿勢もみせた。

 ただ、野党は麻生氏が辞任しなければ国会審議に応じない構えで、この日も環境委員会が流会になるなど不正常な状態に。野党の欠席戦術は長期化する可能性があり、首相肝いりの働き方改革法案も審議入りの見通しすら立たず、首相の政権運営にも大打撃だ。

 一方、辞任する福田氏の退職金は満額支給なら約5800万円とみられるが、セクハラ行為が認定され処分対象となれば受け取れない可能性もある。野党は満額支給なら国民の理解は得られないとして早期の処分を求めたが、財務省は「麻生財務相が判断する」と述べるにとどめた。