埼玉県越谷市と、隣接する吉川市の半径約1・5キロの範囲で2日未明、住宅や物置が燃える火災が4件相次ぎ、1人の遺体が見つかったほか、男性1人が重傷を負った。うち3件は10分以内に発生しており、県警は連続放火の可能性があるとみて調べている。越谷、吉川両市では4月以降、他に少なくとも8件の不審火が相次いでおり、住民から不安の声が上がっている。

 埼玉県警によると、2日午前4時15分ごろ、吉川市川藤で建物が燃えていると119番があり、木造2階建ての住宅が全焼。焼け跡から性別不明の遺体が見つかった。この家に住む女性の浅見なかさん(85)と連絡が取れておらず、県警が身元の確認を進めている。

 遺体が見つかった火災現場の住人で、連絡が取れていない浅見さんを知る人からは、安否を気遣う声が広がった。近隣住民らによると、浅見さんは数年前から1人で暮らしていたが、同じ吉川市内に住む息子が1日に1度は様子を見に来ていたという。近くに住む女性(71)は「よく世間話の中で、『いい息子を持った。私を見捨てないでいてくれる』と喜んでいた。足を悪くしていると聞いていたが…」と話した。