千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年生レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が昨年3月、殺害され遺体で見つかった事件で、わいせつ目的誘拐、強制わいせつ致死、殺人、死体遺棄の罪に問われた渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判初公判が今日4日、千葉地裁で開かれる。

 本来は子どもを見守る立場だった渋谷被告の逮捕から1年2カ月。通学路の安全対策は、よりきめ細かい対応を求められている。犯罪者から子ども自身が身を守る知識や方法を実地研修で教える体験型安全教育支援機構(清永奈穂代表)は、巧妙化する子どもへの声掛けを10類型にまとめた「子どもの安全ガイドブック」を作り、配布を始めた。

 清永氏は「渋谷被告も新潟市の事件の容疑者も、優しい人を装って声を掛けている可能性がある。声掛け方法は日に日に巧妙化している」と指摘する。

 類型には「お菓子をあげる」などの「利益供与型」だけでなく、「困ってない?」と親切そうに声をかける「身の上相談型」、「お母さんが入院した」などの「緊急事態発生型」、「急がないと間に合わない」などの「緊急行動要請型」、警察官を装うなどの「権威誇示型」などが並ぶ。

 第3者に相談させず、その場で行動を急がせる手口は、大人すらだまされる振り込め詐欺の手口にも似る。「家に帰って確かめます」など、一呼吸置いて断る答えを家庭で考え、練習することが大切だ。

 清永氏は「『知らない人についていかない』だけでなく、知っている人でも知らない人でも車や家などの鍵の掛かる密室には入らない。断る方法を子どもに教え、実行できるように練習することが大切」と話す。

 機構では昨年度、全国の子ども計7000人に安全教室を実施。松戸市の事件後はPTAからの依頼が増えており、問い合わせは以前の約2倍に上っている。