6日未明に起きた北海道の胆振(いぶり)地方中東部を震源とする最大震度7の地震から3日が経過した。地震による液状化で民家や道路などの地盤沈下が著しかった札幌市清田区の里塚地区では、自宅に住めなくなった住民らが荷物整理に追われた。

市は同地区288世帯の危険度調査を行っており「危険」「要注意」「問題なし」の3段階で評価。建物の傾斜や損傷が激しく「危険」と判断した住宅は62世帯、「要注意」とした住宅は43世帯で、これは市内で最も多い数字だという。市の担当者は「あくまで外観からの判定で、そのまま住み続けるかは住民の方の判断に委ねている」と話した。

液状化で道路の隆起が激しく、マンホールが突き出すなど危険も多いことから住宅街のいたるところに規制線が張られていた。自宅が傾き「危険」と判定された50代女性は「地震が起きた時は体が沈むような感覚があった。玄関のフレームがゆがんで開かなくなり、ベランダの窓から外に逃げた。37年住んでいるが、初めてのことだった」と振り返った。市が道内の被災者へむけて紹介している市営住宅への移住が決まり自宅から生活用品などを車に詰め込んだ。「とりあえず移ることは決まったけど、家はどうしようか。液状化していてまた同じ場所に住むのもねえ…」とこぼした。

里塚地区の中でも液状化の程度には差があり、「危険」と判定された住宅は地区の同じ場所に偏っていた。同女性は少し前から液状化の兆候があったと語り「家の外の土がいくら足しても下に沈んでいったり、マンホールが地面から突出して何度も整備していたりしていた。分譲で売っていた地域だけど、そもそもの地盤は大丈夫だったのか」と憤りも口にした。

市内の断水地域は同地区のみとなり、この日も水道局職員が漏水した水道管の整備を懸命に進めていた。住民の60代男性は「電気はすぐに通ったがまだ水が出ずに少し不便」と早期復旧を願った。自宅は「問題なし」と判定されるも、やや傾きがあるといい「頭が痛くて吐き気もしたので病院に行ってきた。平衡感覚がおかしくなっているみたいだ」と話した。妻は隆起した道につまずいて転倒し、小指を骨折して手術のために入院したといい「地震の日の朝に明るくなって外に出たら道路が(下に)落ちていてびっくりしたよ。このへんはみんな平らな道だったんだよ」と変わり果てた住宅街を見ながらつぶやいた。