6日未明の北海道の地震で、地方競馬のホッカイドウ競馬を開催する門別競馬場の受けたダメージも深刻だった。停電は8日に解消されたが、水を供給する貯留槽、パイプが破損しており、断水は9日も続いている。場内約800頭の“被災馬”は、ろ過されていない地下水を飲んで喉を潤している状態。11~13日の開催は中止された。

9日、自衛隊の給水車が場内に入った。場内にある35の厩舎に所属する調教師や騎手、厩務員、家族ら約370人の飲み水は確保された。だが、1頭あたり1日約30リットル必要とされる競走馬の飲み水、馬体を洗う洗浄用水は震災後、地下水のまま。本走路などに水をまく散水車が厩舎に配給している。佐々木国明調教師は「最初は濁っていて口をつけない馬もいた」という。くみ上げる回数を重ね、見た目は透明になってきた。佐々木師は「馬も慣れてきた感じだが、生水なので体調を壊さないように見守らなければ」と胸の内を明かす。

競走馬のコンディションも心配だ。9日にはほぼすべての厩舎が通常通り調教をこなしたというが、停電中は馬の運動不足を解消するため、電動のウオーキングマシンを人力で動かした厩舎もあるという。佐々木師も、スクーターを乗り入れ、回転フェンスをロープで引っ張って運動させていた。経験したことがない、手探りの対応が続いたが「馬との距離がより近くなった感じです」と明るく話した。次週18~20日以降の安定開催へ、懸命な復旧作業と競走馬の健康管理が続いている。【奥村晶治】

◆門別競馬場 ホッカイドウ競馬の門別トレーニングセンターを改修して97年12月開場。平たんなダートコースで15年に内回りコース新設。12年に屋内坂路コース完備。09年からは全開催をナイターで実施。収容約1300人。冬季休催期間を含む非開催時はJRAや他地区の場外発売所に。厩舎エリアは現在35人の調教師が管理、運営する35の厩舎がある。調教師