他人に譲渡したキャッシュカードの口座が振り込め詐欺に悪用されたとして、警視庁から任意聴取を受けた東京都大田区の荻野稔区議(32=日本維新の会)が3日、都庁で記者会見を開き「議員という立場にありながら大変重いことをしてしまった。詐欺被害に遭った方におわびしたい」と謝罪した。

犯罪収益移転防止法違反の疑いで任意聴取された荻野区議は、口座に200万円を振り込んでだまし取られた堺市の女性に、警視庁を通じ、被害弁償を申し入れたことも明らかにした。

荻野区議や同席した弁護士によると、16、17年に親戚から「家のローン返済に10万円足りない」「自己破産寸前」などと何度も借金をせがまれた。17年2月上旬、同様の依頼を受けたが、工面をし続けた荻野区議自身も、消費者金融にすら融資を受けられないほど苦しい財務状況だった。親戚から「街金なら貸してくれるのでは」とまで言われ、インターネットで探した金融業者に100万円の借金を申し込んだ。

業者からは「キャッシュカードを送ってもらえれば現金を入金した上、カードを送り返す。変わった貸し方だが、それでもよければ貸す」と言われ、カードを送付。その後連絡が取れなくなり、弁護士に相談した。口座の信用金庫からも振り込め詐欺に悪用されたとして、凍結通知を受け、大阪府警に自ら連絡したという。同年5月、警視庁の担当者が事情を聴きたいと荻野区議の自宅を訪ねた。

日本維新の会の都連はこの日、無期限の党員資格停止処分を決定。進退について荻野区議は「捜査協力もあり、その内容を検討してから考えたい」と述べた。