内戦下のシリアで2015年6月に拘束され、約3年4カ月ぶりに解放され、帰国したジャーナリスト安田純平さん(44)が2日午前、東京都千代田区の日本記者クラブで、帰国後、初めて記者会見を開いた。

安田さんは会見で、2015年6月22日に、現地での仲介者とは違う2人組の男に連れられて深夜にトルコから徒歩でシリアに入り、監禁されたと明らかにした。

当初は拘束した組織側からゲスト扱いされたが、翌7月下旬には日本政府に金銭と武器を要求したと告げられ正式に人質になったと知ったこと、日本政府は金銭を支払う用意はあると組織に伝えた一方で、武器の提供は拒否したと明かした。

安田さんは、シリア入りした当時を振り返り「全然、話が違うと思った。そういうものなのだろうと思い、そちらに入ってしまった。おかしいと思いながら、そのまま歩き続けてしまった。自分でも分からない。10時間ほど歩いて、シリアとトルコの国境を越えて中に入ったら、2人組の仲間に両腕を、強くではないですがつかまれ、半ば促されるように彼らの車の後部座席に座った。目隠しはされずに移動した」と振り返った。

その上で「(組織側から)7月下旬に『日本政府に金を要求する』と正式に人質と言われました。8月に『日本に送るから個人情報を書け』と言われ、家族に『申し訳ない』という文書を書き、渡しました」と説明した。

組織側からは「米国の日本領事館に送った」「シリアじゃない別の国にいる協力者が行った」と日本政府との交渉過程について説明があったという。さらに「日本政府側から『金を送る用意がある。何が目的か言え』と言ってきた」との説明もあったという。組織が金銭や武器のリストを送ると、日本政府からは「武器は無理。金の用意はある。どういう組織なのか」と聞いてきたという。組織側は「組織名は日本に言っていない」と言ったと言い、安田さんは「組織名は私にも言っていない」と語った。【村上幸将】