「母としてどうのこうのと言われて、すごく傷ついた」

東京都の小池百合子知事は16日の定例会見で、地方法人課税の「偏在是正」をめぐって対立している全国知事会との関係に関して、今月9日に行われた知事会の議論の場で、自身のプライベートな面をちゃかされるような発言を受けたとして、強い怒りをにじませた。

「私は母になれなかったので、できるだけ多くの女性には、仕事も子育てもやってこられるような環境を、私自身ができなかったことを皆さんに考えてもらいたいと思うからこそ、そういう環境づくりをしている」と主張。「そのような安易な発言は、大変傷ついたということだけは申し上げたい」と、いつになく語気を強めて述べた。

小池氏は結婚歴はあるが、子どもはいない。

小池氏は、19年度税制改正の焦点である地方法人課税をめぐり、大都市に集中する税収を地方に振り分けて格差を是正すべきだとする「偏在是正」の提言案をまとめた全国知事会を、これまで強く批判している。今回、小池氏の怒りの対象になった発言は、9日の知事会会合で、鳥取県の平井伸治知事が偏在是正で都に譲歩を促そうとして、「母の慈愛で、大都市と地方が折り合える案を考えてほしい」と発言したこととみられる。

小池氏は、この日の会見でも「先日の全国知事会をみても、大阪や愛知の援護射撃を頂きながらも、ほとんどが大都市からの税財源(振り分け)のことについては、多数の方々が方向性を共有しておられる。それはこれまでも、ずっとやってきたことだ。それでどういう結果が出てきたのか。エビデンス(証拠、根拠)が求められる」と、偏在是正を支持する自治体への不快感と、効果への疑問を表明。「世界が激動する中、(東京という)日本を引っ張る成長エンジンを止めないために、どうするのか。対処的療法ではなくて本質論を語るべきだ」と訴えた。

偏在是正措置と「母親」発言を念頭に、「むしろ、親ならば、いかにしてそれぞれの子が自立するのかをサポートするのが国であったり、自治体のそれぞれの役割ではないかと思う」とも述べた。この日午後は、大阪府を訪れ、松井一郎知事と会談する。