衆参両院の厚労委員会は23日、毎月勤労統計の不正調査をめぐる「消えた給付金」問題で閉会中審査を開いた。

28日の通常国会開会前に「幕引き」を急ぎたい政府の思惑と裏腹に、与野党ともに厚労省の対応を猛烈批判。根本匠厚労相の要領を得ない答弁が続いて審議が断続的に止まり、「このありさまでは、通常国会で毎日集中砲火が続けば、根本氏はもたない」(野党関係者)との声が漏れた。

審議では、先日、調査を行った特別監察委員会が公表した報告書の疑問点も露呈。聴取した職員31人中、課長補佐級以下の11人には内部職員が話を聴いていたことが発覚、野党は「マッチポンプ、お手盛りだ」と批判した。詳細な調査内容を問われた根本氏は「精査中」を繰り返し、火に油を注いだ。追加調査にも消極的で、与党議員からも「追加調査は必要です」と諭された。一方、報告書は組織的隠蔽(いんぺい)を否定したが、「組織的関与、隠蔽だ」と断じる指摘もあり、監察委の調査のお粗末さを露呈する結果になった。

厚労省は、過小支給対象者のうち今の受給者には3月から支給を始めるが、過去の受給者で住所が不明なケースの対応はこれからだ。野党は、第1次安倍政権退陣を招いた07年の「消えた年金問題」と重ね、「消えた給付金問題だ」と指摘。12年前の悪夢が安倍政権に忍び寄ってきた。