福岡市西区の市立福岡女子高で22日、校舎内に猿が出没し、同区の職員、警察、猟友会らが捕獲した。捕獲の過程で、同区の男性職員が左ほおを引っかかれて、軽いケガをした。猿は同日午後、近くの山に放された。

福岡市教育委員会と西区の関係者によると、午前7時ころにタクシーの運転手が、市立福岡女子高の敷地内に猿が入るのを目撃し、警察に通報した。同8時には、廊下を歩いていた教師が猿とバッタリ出くわしたという。猿はその場を逃げ、放送室に逃げ込んだため、扉を閉め、閉じ込めたという。同校は夏休み中だが、補修や検定試験があり、教師と一部の生徒は学校にいた。猿は、どこから校内に侵入したかは不明だという。

午前8時の段階で、西区に警察から連絡が入り、区と警察はそれぞれ1人ずつ市立福岡女子高に人員を派遣し、同8時半に合流した。ただ、区も警察も鳥獣を捕獲するノウハウも道具もなかったため、福岡市動物園に相談し、捕獲用の網と革手袋、ゲージを借りた上、猟友会にも応援を依頼した。

区と警察がそれぞれ1人ずつ増員し、午前11時に体制を整えて捕獲作戦を始めたが、猿が放送室内で暴れて窓ガラスを割った上、西区の男性職員の左ほおを引っかくなど抵抗したため、捕獲は難航。同11時半ころにようやく、捕獲したという。左ほおを引っかかれた職員の傷は長さ5センチ程度に及んだが、深い傷ではなかったという。生徒、教師、職員ら学校関係者にけが人はなかったという。

猿については、前日21日から西区愛宕、市立福岡女子高がある同区愛宕浜周辺に出没情報が複数、あったといい、捕獲された猿は同種とみられる。オスかメスかは不明だという。西区の関係者は、取材に「山から下りた猿の出没情報は何度もある。ただ、学校の中にまで猿が入ったとは聞いたことがない」と話した。【村上幸将】