安倍晋三首相は18日、取材に応じ、「桜を見る会」前日に、ホテルニューオータニ東京で開いた前夜祭の費用の総額を記した明細書は、存在しないと述べた。

前夜祭の会費は5000円。一流ホテルにしては安価で、首相の事務所や後援会の補填(ほてん)があったのではと野党は疑問視。証拠の提出を求めているが、首相は「事務所や後援会への入金はなく(事務所は)領収書の発行をしていない。ホテル側が発行し事務所の者が渡した」と強調。事務所や後援会の収入や支出はなく、政治資金収支報告書に記載する義務はないとの立場を崩していない。

この主張に、立憲民主党の安住淳国対委員長は「ホテルと、ホテルを使って何かやる側がお互いに明細書がないとは、戦後日本で初めて聞いた」と指摘した。

関係者によると、企業が同ホテルで宴会を開く場合<1>見積書<2>明細書<3>請求書と、3種類の書類が生じるのが一般的という。一方、国会議員のパーティーの場合、予算内で食べ物の変更などを調整することもあり、明細書は出ないと証言する関係者もいた。

野党は、国会での首相の説明が必要との立場。首相出席の衆参両院予算委員会の開催を求めたが自民党は応じず、まずは20日の衆院内閣委員会で菅義偉官房長官が出席して質疑を行う。安倍事務所の会計責任者、ニューオータニの担当者の参考人招致は、自民党が前例がないとして拒否したが、安住氏は「明細書はホテルには絶対にある。明細書がないと永遠に疑問が解けない」と息巻いた。先週、野党の追及チームが首相事務所に公開質問状を出したが、事務所側は首相の記者への説明をもって回答に代えたいと述べたという。