直木賞作家の伊集院静さん(69)が21日夜、くも膜下出血で倒れて救急搬送され、翌22日に手術を受けたと23日、所属事務所が発表した。手術は成功し、経過は良好だというが、妻の女優篠ひろ子(71)は直筆のコメントを発表し「この先どのような状態になるのか、まだ予断は許さない状況です。(中略)道半ばで書くことを断念せざるを得ないとしたら、こんなに悲しい事はありません」と断筆の可能性すら示唆した。

伊集院さんは、新聞に2本、週刊誌に3本、月刊誌に2本の連載を抱えている。また自身が92年「受け月」で受賞し、15日に発表されたばかりの直木賞の選考委員を務めるなど、多忙な日々を送っていた。昨年10月には作家としての軌跡を振り返る「大人の流儀 伊集院静展」が都内で開催され「またどこかで」と書いた直筆の書も掲げられた。

篠は「願いがかなうのであればまた、ペンを持って皆様に作品をお届け出来ることが私の心からの思いです。今までのように穏やかな執筆生活を取り戻せる日まで精いっぱい頑張って参ります」と夫の復帰を願った。

◆伊集院静(いじゅういん・しずか)1950年(昭25)2月9日、山口県生まれ。72年立大卒。81年「皐月」で作家デビュー。94年「機関車先生」で柴田錬三郎賞を受賞。作詞家としても近藤真彦の「ギンギラギンにさりげなく」「愚か者」などを手掛ける。人気エッセー集「大人の流儀」シリーズは、累計発行部数195万部を超え、昨年10月に最新刊「ひとりで生きる 大人の流儀9」が刊行された。84年に女優夏目雅子さんと結婚したが、翌85年に死別。92年に篠と再婚し96年から仙台市在住。