相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で16年に入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の第8公判が24日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で行われた。

植松被告は事件発生から3年半、拘置所にいる中で考えていたことを聞かれると「環境に対する取り組みとか、どうすれば良い社会になるかということを考えていました」と真剣な表情で語った。その上で自説として

<1>2人っ子政策

<2>恋愛を学問する恋愛学を作ること

を提唱した。

植松被告は、まず2人っ子政策について「人口が増えすぎている」と主張。中国の1人っ子政策が有名だが「世界的に見て1人っ子より2人っ子がいいと思う」と持論を展開した。

続いて、恋愛学について「恋愛は、すごく大切なことなのに、何も教わっていないまま。社会では、こういうことが起こると教えた方がいい」と強調。その上で「例えば、浮気をされても束縛してはいけない、自分にも原因があるし(恋人の浮気相手が)自分よりいい相手かもしれない」と真剣な表情で語った。

弁護人が「誰が教えるんですか?」と問いかけると、植松被告は「義務教育で…学校です」と小中学校の9年間で児童、生徒に恋愛を教えるべきだと主張した。

また植松被告は被告人質問の中で、再三にわたり大麻を嗜好(しこう)品として認めるべきだとの主張を続けた。午後の被告人質問の中でも「大麻を認めるべきだと思う。大麻が与える多幸感は生きる活力になる。コカインや覚醒剤を使うと重度障害者が出る。明確な違いを知るべき」と訴えた。その上で「麻薬と言うと大麻を思わせるが全然、違う。誤解を生んでいる。麻薬の麻はカタカナにした方が良い。今は大麻ありき」などと、身勝手な主張を自信満々に言い放った。

ただ、弁護人に「(大麻が日本で認められるよう)法律を変えるために、どうしたらいいと思う?」と聞かれると「分かりません」と即答。「考えたけれど分からなかったのか、そもそも考えていなかったのか?」と聞かれると「考えましたけども…どうやって(法律が)変わるかが分かりません」と返すなど、発想の稚拙さを露呈した。【村上幸将】