老舗酒造が、新型コロナウイルス対策に一役買っている。富士高砂酒造(静岡・富士宮市)がこのほど、手指の消毒に使用可能な高濃度エタノール商品の高砂アルコール77(500ミリリットル、税込み1375円)の販売を開始。アルコール消毒液が不足しているための対応で、感染収束まで販売を続けていく。

アルコール度数は消毒用と同等の77%。厚生労働省は、アルコール度数の高い酒を消毒用に代用可能とする特例措置を出している。市内の医療機関や福祉施設からの要望を受け、4月に入ってから製造を開始。急ピッチで準備が進められた。

専用ラベルは、富士宮市の三扇美術印刷にデザインを依頼。山本晃雅副社長(39)は「周囲の方の協力があり、早期の販売に至ることができた。普段ならばお酒は嗜好(しこう)品。現在は社会の必需品を作らせていただき、ありがたい」と感謝した。

原料調達の関係で1日の製造量が限られているため、当面の間は電話のみで予約を受け付けて販売する。山本氏は「1本でかなりの回数の消毒をまかなえる。みなさんでシェアして使用していただきたいです」と希望した。【古地真隆】

◆富士高砂酒造 江戸時代後期、1830年(天保元)創業。仕込み水・富士の水の素質を生かした、口当たりが優しく、少し甘く感じる酒質が特徴。代表取締役社長は山岸逸人氏。住所は富士宮市宝町9の25。【電話】0544・27・2008。