内閣が検察幹部の役職定年を延長できるようにする検察庁法改正案に対し、SNSのツイッター上で9日から抗議のツイートが相次ぎ、10日午後時点で380万を超えた。

一般の人々に加え、俳優、作家、映画監督、漫画家、ミュージシャンら各界著名人も「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけて続々投稿。前例のない大規模ネットデモの様相となった。検察の独立性が脅かされる事態に、国民の怒りが噴出した形だ。

   ◇   ◇   ◇

「検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグ付きツイートは9日に広がり始め、10日未明には100万を超えた。その後も勢いが衰えることなく、ツイートした著名人の名前や「三権分立」など派生した関連キーワードもトレンドの上位に並ぶほどだった。

声を挙げた著名人は、俳優、作家、映画監督、漫画家、音楽関係、タレント、学者など、さまざまな分野に及んだ。俳優の小泉今日子は代表を務める制作会社「明後日」のアカウントから、ハッシュタグをツイート。約1時間後に「もう一度言っておきます!」、さらに「1.000.000超えました。この目に焼き付けました」など連続投稿した。きゃりーぱみゅぱみゅは、タグと一緒にネットで拡散している検察庁法改正案の相関図を引用して投稿した。

言葉を添えた投稿では、俳優の井浦新が「もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい」、作家の近藤史恵氏が「三権分立が破壊される改悪です。火事場泥棒のようなことはやめろ」など厳しい批判一色。思想や支持政党に関係なくダメだという意見や、普段は政治のことは触れないがこれだけは黙っていられないと投稿する人、コロナ禍の中でこれこそ不要不急だとする指摘なども多い。

この改正案は、検察官の定年を引き上げ、検察幹部については内閣が認めれば役職定年を延長できるようにする内容。与党は8日から、衆院内閣委員会で審議を強行。野党は森雅子法相の出席や法務委員会での審議なども求めたが、与党は拒否した。安倍内閣は、政権に近いとされる黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を1月に閣議決定し、黒川氏がトップの検事総長に就く可能性が出た。この改正で内閣による特定検事の人事への介入が正当化されかねず、検察の独立性が揺らぐ危機も指摘される。国民の怒りの声は高まる一方だ。