東京都の小池百合子知事は15日の会見で、エジプト・カイロ大卒業をめぐる学歴詐称疑惑が浮上していることを受け、2種類の卒業証書を公開した。都知事選告示を控え、学歴問題に焦点が当たるのは本意ではないとの認識からだ。都知事選の政策も発表し、東京版CDC(疾病対策センター)の創設など、新型コロナウイルス感染対策を強く打ち出した。「東京を誰に担わせるのが最適か」が争点になると述べ、現職のプライドをにじませた。

「どうぞ、ご自由にご覧いただきたい」。小池氏は政策発表会見の最後、唐突に自ら卒業証書の話題に触れ、現物とコピーの2種類の卒業証書を公開した。

「前回(12日の出馬会見で)も質問が出た。これまで、何度も公表してきたと答えている」とした上で「選挙戦が始まるが、政策論争より卒業証書の話ばかりが先に出てくるのは、ふさわしくない」と、学歴問題の過熱報道に不快感を表明。「何度も公開させてもらっているもの」だとして、証書の公開に踏み切った。

一方、退庁時の取材で、卒業の際に発行されたものか問われると「時間は少しずれる。手書きで時間がかかりますので」。選挙戦前に、疑惑報道にケリをつけるための対応とみられるが、小池氏の思惑通りに進むかはまだ不透明だ。

会見では都知事選で訴える政策を発表。新型コロナの第2波に備えたCDC創設、PCRなど各種検査体制の強化など、現在進行形のコロナ対応を強く意識。その上で「稼ぐ東京」「人」「都民ファースト視点での行財政改革」の3つの柱を示し、都政を前進させるための政策を並べた。

前回は待機児童や介護離職などをなくすとして「7つのゼロ」と具体的な数値に触れた。今回は具体的数値目標がないが「現在(都として)長期戦略を練っている。現職でもあり、そこに目標の数値をあげていく」と述べるにとどめた。

山本太郎氏が新たに出馬表明した後の会見。自身に挑む他候補への対抗心もにじんだ。争点を問われると「『大東京』をだれに担わせるのが最適かに尽きる。前に行くか、後戻りするか、全然違う方向に行ってしまうのか」と、強調。山本氏が中止を訴えた東京大会については「簡素化やコスト縮減の上で、都民の理解が得られる形での大会開催」を目指すとした上で「準備してきたアスリート、子どもたちがワクワクするような大会へ、関係者と連携しながら準備したい」と、きっちり一線を画した。【中山知子】