渡辺明王将(名人・棋王=36)への挑戦権を争う、将棋の第70期王将戦挑戦者決定リーグが22日、開幕した。午前10時から東京・千駄ケ谷「将棋会館」では注目カード、藤井聡太2冠(18)対羽生善治九段(49)戦は、先手の藤井が4戦全勝の羽生に初黒星を喫した。

  ◇   ◇   ◇

4戦4勝と羽生に負けなしだった藤井が、初めて黒星を喫した。先手で踏み込んでいきながら、しっかり対応され、局面も複雑にされる。50手までで持ち時間4時間のうち、残り39分(後手の羽生は残り1時間50分)。先に時間を消費し、投了に追い込まれた。

過去4局は羽生の段位が上位だったため、下座だった。今回は段位が八段でも現役タイトル保持者であるため、無冠の羽生よりも序列上位ということもあり、上座に陣取った。場が替わったからではないが、流れが変わった。

約2カ月の短期決戦で行われる今期のリーグで成績最上位者となれば、渡辺明王将への挑戦権を得る。来年早々から始まる7番勝負で3冠にチャレンジする。7人総当たりのメンバーは藤井、羽生のほか、昨年敗れた広瀬、21日に叡王を獲得したばかりの豊島将之2冠(竜王・叡王)、永瀬拓矢王座、木村一基九段、佐藤天彦九段と、新旧タイトル獲得経験者がそろう。

10月5日のリーグ2戦目は、過去5戦5敗と相性の悪い豊島。今月12日の「将棋日本シリーズJTプロ公式戦」でも苦杯をなめた。同時に2冠達成後、初黒星を喫した。次は前半最大のヤマ場になりそうだ。

 

◆王将戦 将棋の8大タイトル戦の1つ(ほかは竜王・名人・叡王・王位・王座・棋王・棋聖)。挑戦者決定リーグは前期シードの4人(広瀬・豊島・藤井・羽生)と、1次~2次予選を勝ち上がった3人(永瀬・木村・佐藤天)の計7人による総当たり戦。成績最上位者が挑戦者となる。95年の第44期には、当時まだ無かった叡王を除く6冠を保持していた羽生が、谷川浩司王将に挑戦。阪神淡路大震災に遭いながら対局をこなした谷川が4勝3敗で防衛した。翌年の第45期は、6冠すべてを防衛して再度挑戦者として登場した羽生が谷川に4連勝。史上初の7冠全制覇を達成した。