豊島将之竜王(30)が初防衛まであと1勝とした。羽生善治九段(50)の挑戦を受けている、将棋の第33期竜王戦7番勝負第4局(鹿児島県指宿市「指宿白水館」)は27日午後6時22分、113手で先手の豊島が快勝。対戦成績を3勝1敗とした。中盤から徐々にリードを広げて粘る羽生を振り切り、今シリーズで初めて先手番で勝利を挙げた。「優勢かもしれないと思いつつ、よく分からないまま指していた」と振り返っていた。

豊島は2年前に初タイトルとなる棋聖を獲得以降、同年王位、昨年は名人、竜王、今年は叡王と獲得している。ただし、昨年の棋聖、王位、今年の名人と防衛には失敗している。「重要な対局が続く。1局1局精いっぱいやりたい」と気を引き締めていた。

一方、タイトル通算100期獲得が危うくなった羽生は、「こちらから動いていったが、少しずつ無理をしていったのかもしれない。ちょっとずつ苦しくなった気がした。気持ちを新たに臨みたい」と話した。

第3局(7、8日、京都市「仁和寺」)を終えて帰京した9日に38・9度の発熱があった。10日に診察を受けたが熱が下がらず、11日から入院。新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査を受け、陰性だった。病名は無菌性髄膜炎で、14日に退院した後、王将戦挑戦者決定リーグ、A級順位戦を計3局こなした。

竜王戦第4局は本来なら12、13日に福島市「吉川屋」で開催の予定だったが、ここまで延期された。退院後、初めて2日制での対局となったが、「ふだん通り指すことができた」という。

豊島がスンナリ初防衛を果たすか、羽生が望みをつなぐか。第5局は12月5、6日、神奈川県箱根町「ホテル花月園」で行われる。【赤塚辰浩】