安倍晋三前首相側が主催した「桜を見る会」の前日夕食会の費用補填(ほてん)を巡る問題で3日、東京地検特捜部が安倍氏に事情聴取を要請したことが分かった。特捜部は5日の国会会期末で閉会した後に聴取する方向で調整している。政界で何が起きているのか。政治ジャーナリスト角谷浩一氏に聞いた。

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政治ジャーナリスト角谷浩一氏 首相経験者が東京地検特捜部の事情聴取を受けるのは初めてではないか。元首相・田中角栄は事前の事情聴取なくいきなり逮捕だった。政界では秘書は略式起訴、前首相の聴取はセレモニーという声があるが、9月16日に総辞職するまでの連続在職日数は2822日と最長を記録した首相の現職時代のカネの問題で、退任してからわずか3カ月後に検察が事情聴取に臨むことは異例といっていいし、検察の覚悟がうかがわれる。まずは議員会館など関係先の捜査からではないかと思うが、国会が閉会してから、選挙がしばらくないことを勘案しての着手とみていい。森友・加計疑惑で信頼を失った検察は正義を貫こうとしているのか。政権と検察との暗闘が背景にあるのではないか。