米首都ワシントンDCで20日に行われたバイデン新大統領の就任式は、女性、黒人、アジア系としていずれも初となるハリス副大統領の誕生や歌手レディー・ガガの国歌独唱など話題満載だったが、SNSを席巻したのは79歳のバーニー・サンダース上院議員の服装だった。

大統領選ではバイデン大統領と民主党の指名争いを最後まで繰り広げたサンダース上院議員は、華やかに着飾った招待客らの中で1人だけ分厚い防寒ジャケットに毛糸で編んだミトン手袋といういでたちで出席。

周りとは対照的なその格好だけでなく、コロナ対策としてソーシャルディスタンスが保たれていたことから中継画面に映し出されたぽつんと1人で座る姿は明らかに浮いており、人々をくぎ付けにした。

サンダース氏は若者たちに熱狂的支持を集めているだけに、SNSではこの近所に買い物にでも出かけるような格好はまるで自分たちのおじいちゃんみたいと大うけ。「おじいちゃんが郵便局に行くみたいな格好」「バーニーはこの後に行くところがあるんだよ」「良いコートが必要だわ」「バーニー伯父さんはクリームチーズとベーグルを買いに出かけたら就任式に出くわしちゃったんだよ」など服装を話題にしたコメントが殺到した。

大統領選に敗れたから? という声もあるにはあるが、就任式という華やかな場でも普段通りの装いを貫く姿に好感度を抱く人も多かったようで、「間違いではないよ。バーニーは自分の就任式でも同じ格好をするはずだから」という書き込みも。また、会場でポツリと座るその姿を加工し、「フォレスト・ガンプ/一期一会」でトム・ハンクス演じる主人公が座るベンチの隣に座らせるなどユニークな画像も多数投稿されている。

翌朝にはさっそく米メディアでもサンダース議員の服装は話題となり、その後、寒空の下でしっかりと防寒するために着用していたと思われるミトンは、地元バーモント州の牧師が数年前にウールのセーターとペットボトルを再利用した素材で手作りしてプレゼントしたものだったことが判明。 

さらに分厚いコートも地元の企業がサンダース氏の顔を背中に描いて限定販売したもので、それを気に入った同氏が顔が描かれていないものをクリスマスに自分用に購入していたものだと伝えられている。

思いがけず就任式の主役の座を奪ってしまった同氏は、「バーモント州の人間は寒さをよく知っている。良いファッションかどうかはあまり気にしないが、防寒については気にする。私は今日そうしたんだ」とCBSニュースに笑いながらコメントしている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)